地球の構造
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地球の構造
日本列島をはじめ、世界の各地ではさまざまな岩石や地層を見ることができます。これらは現在、地球の表面に現れてこそいますが、そのでき方や分布は地球内部の状態に強く依存しています。したがって、地球の表面を理解するためには、地球の内部の様子も知っておくことが必要です。
地球の内部構造
地球は均質な球体ではなく、成層構造をなしています。これまでのさまざまな研究により、人類が到達していない地球内部の構造も、少しずつ明らかになってきました。
地球の内部構造を分けるのには、2種類の方法があります。ひとつはどんな物質でできているかという岩質 (組成) による分け方と、もうひとつは、剛体であるかないかという力学的な違い (流動しやすさ) による分け方です。
組成を基準にした分け方では、上部マントルは主にかんらん岩からできていると考えられています。下部マントルは高い圧力のためかんらん岩がより緻密な構造に変わっていると考えられ、上部マントルと下部マントルの間は漸移帯 (遷移層) になっています。下部マントルと外核の境界部はD"層と呼ばれ、かんらん岩が更に緻密な構造に変わっていると考えられます。外核は主に液体の鉄とニッケルから、内核は主に固体の鉄とニッケルからできていると考えられています。
一方、流動性を基準にした分け方では、地球の表層をリソスフェアとアセノスフェアに区分します。アセノスフェアは上部マントルに相当しますが、その一部が溶けていて流動性があると考えられています。現在では広く知られるようになったプレートテクトニクスでプレートと呼んでいるのは、ほぼリソスフェアに相当します。このほか、リソスフェアにアセノスフェアの最上部も含めてテクトスフェアと呼び、これをプレートとみなす考え方もあります。
このような地球内部の組成及び物性の大きな変化は、地球内部の高い圧力のため、結晶の構造が高密度に変化 (相転移) することと、地球内部の高い温度のため、物質が部分的に (外核では大部分) 溶融することが原因です。また、地球内部での温度と圧力の変化は、火成岩や変成岩の成因に大きな影響を与えます。
地球表層の構造
地球の表層には大気があります。大気も層構造をなしており、対流圏、成層圏、中間圏、熱圏と区分されています。それぞれの層は世界中のどの場所でも、ほぼ同じように分布しています。
一方、岩石や地層の分布は、大気に比べると非常に不均質です。特に、陸と海では水の有無に加えてその下の岩石の種類や構造も大きく違っています。大陸地殻の上部は主に花こう岩質の岩石から、大陸地殻下部と海洋地殻は主に玄武岩質の岩石からできており、その厚さも陸では厚く、海では薄いと考えられています。
また、大気の場合は人の目で雲や空を直接観察したり、人工衛星や機器を使って観測することもできますが、地球の内部を直接調べることは容易ではありません。このため、地球の内部の構造や状態はさまざまな手法を使って推測されてはいますが、一般にはあまり知られているとはいえません。しかし、私たちの暮らす地表から見たときに、例えば台風の雲の表面よりも、地下のマグマの方が近いところにあると言えば、地球内部の現象も決して別世界の話ではないことを理解してもらえると思います。
日本列島の断面
日本列島では、太平洋やフィリピン海の海洋プレートが、大陸プレートの下にもぐり込む位置にあたり、沈み込み帯と呼ばれています。日本列島のような沈み込み帯の断面は、下のように考えられています。左の図が密度で分けたときの断面で、右の図が流動性で分けたときの断面です。
沈み込み帯では、大陸プレートの下に海洋プレートが沈み込むことで、地震や火山などのさまざまな現象が引き起こされています。