現在,気象庁のアレンジにより,毎週月・水・金の3回,三宅島の上空にヘリコプターを飛ばしており,
大学および産業技術総合研究所(旧・地質調査所)のスタッフがこれに搭乗して観測にあたっています.
原則的に,月・水は警視庁,金は東京消防庁のヘリが飛んでいます.ここでは,7月6日に東宮により撮影された写真の一部を公開いたします.
写真をクリックするともっと大きな写真(70-200KB程度)が御覧いただけます.
なお,写真の無断2次使用は御遠慮下さいませ.(※) 2001年9月現在,ヘリ観測頻度は週に1回となっています.(2001/9/25補足)
<データ>
観測時間 :2001年7月6日(金) 午前:9:56~10:28; 午後:14:18~14:27(三宅島上空での滞空時間)
ヘリコプター:東京消防庁「つばめ」
搭乗研究者 :大島(東大)・東宮(産総研)[このほか,建設局のスタッフ3名同乗]
行程:
9:07 東京ヘリポート離陸
┌ 9:56 午前の観測開始(三宅島上空到着)
午前 10:13 阿古ヘリポート着陸(建設局スタッフ3名降機)
の部 10:15 阿古ヘリポート離陸
└10:28 午前の観測終了(三宅島上空出発)
10:40 神津島空港着陸
(神津島待機)
14:07 神津島空港離陸
午後┌14:18 午後の観測開始(三宅島上空到着)
の部└14:27 午後の観測終了
14:32 阿古ヘリポート着陸
14:37 阿古ヘリポート離陸(建設局スタッフ3名乗機)
15:23 東京ヘリポート着陸
(1) 北側から見た三宅島雄山.今回は噴煙は東へ流れていた.
(2) 西側(阿古今崎)から見た三宅島雄山.西半分は雲をかぶっていて見えない.画面中央のオレンジ色の施設は阿古のヘリポート.
(3) 噴煙とガスがカルデラ東壁から溢れだす様子.
(4) カルデラ東壁を噴煙が乗り越える様子.
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(4)
(5)~(8) 青白いガスは東(写真左手方向)へ延々と流れて行った.
(9) 北斜面.斜面が白っぽいのは薄雲越しのため?
(10) スオウ穴付近を北から見る.
(11) スオウ穴のアップ.
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(10)
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(12) カルデラリム北東部
(13) 噴煙溢れだし部分
(14) ただいま噴煙の上を通過中
(15) 南側から純白噴煙上昇部分を見る.
(16) 西側(背後)から噴煙を見る.噴煙は三宅島空港のすぐ北側を通過して海上へ達している.
(17) 西側からカルデラの東内壁を見る.
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(18) スオウ穴付近をやや高空から見下ろす.
(19) カルデラの東内壁のアップ.内壁に新鮮な赤い面が見える.最近の崩落跡か?
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(20) カルデラリム北東部および主火口(カルデラ底の南東部にある最も活発な火口)付近・その1
(21) カルデラリム北東部および主火口付近・その2.
(22) カルデラ底の主火口,硫黄,小さな赤い池付近のアップ.
(23) カルデラリム北東部および主火口付近・その3.
(24) カルデラ底の黒い池付近のアップ.
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(25) 東斜面.これからヘリが噴煙を飛び越えるところ.
(26) 飛び越えたばかりの青白い噴煙(ガス)のアップ
(25)
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(27) 1983年溶岩流に埋まった三宅小中学校
(28) 神津島.7月8日のフライトでは日中数時間神津島空港で待機となった.
(29) お世話になった東京消防庁のヘリ「つばめ」
(30) 御蔵島の笠雲
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(28)
(29)
(30)
---------- 1.概況 湿った西風のため,三宅島の西半分の山腹から山頂にかけて低い雲が張り付いてい て,その部分はほとんど観察できなかった.カルデラ内部は雲の隙間からかろうじ て見えた程度だが,7/4ヘリ観察(川辺さん)から大きな変化は無いようだ. ---------- 2.噴煙 純白な噴煙が主火口からもくもく上昇し,カルデラの東縁を乗り越えるようにして 東側へ流れ出す.リムを超えたあとは急速に消失し,海岸まで残らない.噴煙上昇 高度は海抜1100m程度. 青白く濃密なガスは東側のカルデラリムから溢れ出してすぐに斜面に沿って垂れ下 がる.ガスが流れている部分の幅は比較的狭い(3月頃にくらべて). ガスは午前・午後ともにほぼ真東(三池浜方面)に斜面を流下して,そのまま海上 を延々とどこまでもたなびく. 青白いガスについて,数カ月前に比べると,濃さは同程度のままフラックスが減少 したように見える. #噴煙(青白)の幅が狭いのは,火口からのガスの放出量が小さいほど,カルデラ 内部に滞留していたガスがカルデラリムから溢れ出す時にちょろちょろと溢れる ためではないだろうか.つまり,放出量が小さいほど,より局所的なリムの地形 (谷)に規制されてガスが流下するということである.(逆に,ガスの放出量が 大きい時は,カルデラリムの多少のギザギザにはお構い無しに盛大に溢れること ができるため,噴煙の幅が広くなれた.) もしそうだとすれば,今後ガスの放出量がさらに減少したとしても,ガスが流下 する谷沿いでは相変わらず高濃度のSO2が検出されることになる. ---------- 3.カルデラ内部 低い雲が張り付いていて,カルデラ内部の観察は充分にはできなかったが,特に大 きな変化は認められないようだった. (主火口からは純白の噴煙がもくもく上昇し,主火口のコーンの北斜面からは小さ な白い筋状の噴煙が数本立ち上っていた.主火口のコーンの北東斜面には黄色く 硫黄の付着が見える.池の色は南西の大きいのが黒,東(主火口の北東)にある 小さな3つが赤褐色,北側の池も赤褐色.) 東壁の一部に新鮮な赤い面が見られた.比較的最近崩落した部分かもしれない. ---------- 4.カルデラ縁・斜面 北~東については大きな変化は無いようだ.それ以外の部分は雲のためほとんど観 察できず. なお,北斜面がうっすら白く見えたような気がした.大島さんは“いつのものかは 分からないが降灰ではないか?”とコメントしていたが,単に霧がかって白っぽく 見えただけかもしれない.要確認か. スオウ穴の池の水は赤茶色. ---------- 5.その他~飛行コース等について 飛行は,午前と午後の2つの時間帯に行なわれた. 午前は,建設局3名が同乗したままで1回と,3名降機後にもう1回の合計2回飛行. 前者では高度3000ft程度で噴煙を避けるようにカルデラの西半分(北-西-南)を 1往復半+α,後者では高度4000-4500ft程度でカルデラを右回りに2周した.東 側通過時は噴煙(青白いガス)の上を飛び越えた. 午後もやはり高度4000-4500ft程度でカルデラを右回りに1周.雲の状況が午前 より悪かったので,1周だけで阿古ヘリポートへ向かい,建設局3名乗機後は一路 東京へ向かった. 以上 ----------------------------------------------------------------------