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平成13年1月22日(月) |
有珠山2000年噴火から5ヶ月後の 現地の様子 |
地殻変動によって傾いた家屋
この場所は西山にできた火口群から300-400mほど北にあります。 南側が盛り上がってしまいました。
火山灰によって埋まった舗装道路
西山の火口群に近づく(左→右の写真)につれ、 道路を覆う泥(火山灰)の厚みが増します。 ぬかるんでいるので、ゴム長靴を履いています。 一歩前進する度に靴底に泥の層が成長するので、 数10歩後には鉛の靴のように重くなります。 非常に歩き難いものでした。 腿の筋肉を鍛えるには良いかもしれません。 人物スケールは星住@地調さん。
西山火口群のうち一番北にある火口
三枚パノラマ
調査時、西山火口群のうちで一番盛大に噴気をあげていたのがこの孔でした。 人物スケールは西村@北大さんと宝田@地調さん。
上と同じ火口 三枚パノラマ
中をみおろしています。 火口底から「シュー」や「ゴー」という連続音が聞こえます。 沸騰がおきているように(一見)みえますが、 よく見ると液体はなく、ガスによって砂が吹き飛ばされているようです。 残念ながらスケールとして適したものがありませんでした。
火口周囲、近傍には新しそうな火山灰が堆積していました。 それはしっとりとしていて、 上質なカステラのような感蝕でした。 この上を数歩あるいてから地面を指で触れると、バシッと感電しました。
さらに南側の火口群
四枚パノラマ
上の場所から、数百メートル南に進みました(大変苦労しました)。 写真には三〜四枚目の写真に比較的大きな火口が二つ(手前と、遠く)写っています。 これらは2000年3月31日にできた火口です。 雨が強くなってきたので引き返し、翌日また来ることにしました。
泉地区の舗装道路
西山火口群の下見を終え、これから西山火口に向う途中の様子。 1メートル程度の段差が見られます。
金比羅火口に向いました。 目的地まで行くには、 距離的には、 一旦車で洞爺湖温泉街に向い、 そこから国道を南下するアプローチが楽そうです。 しかし、国道はこの火口の活動によって通行止になっていました。 そこで、泉地区の消防署裏から林道に入り、 目標の南側から徒歩でアプローチしました。 このルートのメリットはふたつあります。 まず、このルートは西山火口群の風下側を通るので、 噴出物が多く堆積している(試料採取:本来の目的)と期待されることです。 もうひとつは、 この場所が地殻変動が特に激しかった地区なので、 その様子を観察できることです(こちらは向学のため)。 以下に、激しい地殻変動の様子をお見せします。
地殻変動の様子
泉の消防署の東の林道を南下しました。 上の3枚の写真はみな、林道の進行方向を向けてシャッターを切っています。 下の2枚は、同じ場所を上と(左下の写真)下から(右下の写真)撮影したものです。 林道は階段のようになり、五〜六メートルの段差もみられました。
泉地区にある焼却場
カメラをほぼ水平に構えて撮影しています。 焼却場はすべり台のように傾き、建物の中は歩くことさえ困難でしょう。 この付近には軽石が比較的多く堆積していましたので、 試料採取を行ないました。
さらに林道を進む
焼却場付近での地質調査を終え、金比羅火口に向って再び前進します。 林道は左に大きくカーブし、北上しながら火口にアプローチします。 これは地殻変動の影響で倒れた電柱です。 電気が流れていないとわかっていても、 電線をくぐるのはいやなものです。
噴煙をあげる金比羅山火口
これが金比羅火口です。 残念ながらスケールになりそうな物が何もありませんでした。 火口は「フォン!、フォン!」と重低音で唸りながら盛んに噴煙をあげていました。 同時に、石が巻き上げられては噴石丘に落下していました。 スケールがないためそれらの石の大きさは不明ですが、 足元には、 比較的最近落下したと思われる直径5-15センチ位の石が多数ありました。 火口壁のむこうには洞爺湖温泉街が見えます。
このような場所から立ち去る際は、火口に背中を向けないのが原則です。 そうすれば、噴石を目で見て、避けることができるからです。 十分安全な距離になるまで、火口を気にしながら遠ざかりました。
以上で二日目のフィールドワークは終わりです。 くたくたです。宿での夕食・ビール・温泉が良かったことは言うまでもありません。
調査にあたり西村裕一@北大さんには大変お世話になりました。