GSJ Open-File Report, no. 655 August 2018


AMXS: AeroMagnetic Expert System

Tadashi Nakatsuka and Shigeo Okuma
(Research Institute of Geology and Geoinformation, GSJ, AIST)



目  次
1.は じ め に
2.AMXS システムの概要と動作環境
3.AMXS システム構築手順
4.AMSS3ソフトウェアに対する望ましい更新
5.AMXS の GUI 動作画面とその構成
6.この資料に収容されているファイル
参 考 文 献


1.は じ め に

 我々は,永年にわたって空中磁気探査の研究に従事し, その中でデータ処理・解析の各種プログラムを開発してきた. それらは,すでに概要を学会誌や学術講演会で発表済み [Nakatsuka, 1995; Nakatsuka and Okuma, 2006a, 2006b, 2009a, 2011, 2014a; Nakatsuka et al., 2009b; Okuma et al., 2009c, 2014b; ほか] であるが,それらのソースプログラムを地調研究資料集において公開している.

 最近,従前の空中磁気探査のデータ処理解析に関する統一化したプログラム体系 [Nakatsuka, 2009d, 2009e] に対する増補全面改訂版として,地調研究資料集 no.648 "AMSS3: Software system for Aeromagnetic data processing, Grid data manipulation, and Reduction and quantitative interpretation of magnetic anomaly data (3)" [Nakatsuka and Okuma, 2018] を公開した. その中には,磁化構造の 3Dイメージング解析をはじめとする 高度解析処理のプログラム群を新たに収録している.

 この空中磁気探査のデータ処理解析のソフトウェア体系は, やや単純な機能を有する個別のプログラムを多数集めたプログラム集の形式 になっている. そのため,何らかの課題・目的に対する実際の処理プロセスは, 一連のプログラム実行処理が必要になるであろう. 個別のプログラムの実使用にあたっては, 処理対象データのファイル名をはじめとする処理のパラメータ値を 会話形式で入力する. その入力処理は,CUI (character user interface) を利用したものとなっており, 場合によってはユーザにとって煩雑なものであるかもしれない. そこで,AMSS3 システム全体にわたる全ての処理解析の実行を,Web(HTML) インターフェイスによる GUI (graphic user interface) 環境で動作させる処理体系 の開発を行った. そのシステムを,AMXS (AeroMagnetic Expert System) と名づけている. この名前は,人工知能を用いた意思決定支援システムを意味するのではなく, 空中磁気探査の専門家がデータ処理解析を行う上での援助として, 数多くのツールの中から必要なものを選んで実施することを便利に行える仕組 を用意するものである. システム内には数多くの各種ツールが存在するので, 空中磁気関係者以外にとっても利用価値があるであろう.

 ここでは,AMXS システムの概要と動作環境について述べたのち, この資料集に含まれるソースコード類を利用して AMXSシステムを構築する手順, AMXSシステムの動作画面例とそこでの操作の上で参考となる事項について記し, この資料に含まれるソースコードファイル全体のツリー構造を示す.

2.AMXS システムの概要と動作環境

 AeroMagnetic Expert System (AMXS) は,空中磁気探査の計測データから そのデータの品質管理・解析処理・磁気異常ソースの解析・解釈に至るデータ処理 の体系として開発した「空中磁気探査ソフトウェアシステム AMSS」の利用を, GUI (graphic user interface) の環境で便利に利用できる仕組である. 基本的に,GUI として,Web (HTML) インターフェイスを用い, HTML と Javascript を用いて構成した操作画面から, Perl言語による CGIスクリプトを介して,AMSS の実行プログラムを呼出す形 になっている.
 なお,ここで開発しているAMXSの動作環境では,システム自体が閉鎖系の ネットワークにのみ接続されることを想定しており,データの保全・保護の観点での セキュリティ対策は行っておらず,極めて脆弱なシステムである. 従って,そのようなセキュリティ対策が必要な場合は, 慎重な再検討が必要であろう.

 その体系の概略は,Fig.1 のようになっている. この図の AMSS で示された下半分は, データ処理の実行プログラム自体であり AMSS3 システム体系をそのまま用いる. 図の上半分が,本資料集が対象とする AMXS が担う機能部分であり, 当然のこととして,Webブラウザを介して利用者とのインターフェイスが存在する. より正確には,CGI部分の一部に C言語ソースで書いた小さなユーティリティが 実行プログラムとして存在し,HTML部分の一部にPNG形式の画像ファイルがあるが, その詳細は後述のツリー構造ファイル一覧を参照されたい.
 なお,AMSS3 システムに含まれるプログラム群は,subprogramライブラリ 'libgm' と各種ユーティリティ 'utils' を除いて,'DPAM'・ 'GDMP'・'ANAM'・'ANAMX' の4群に区分され, それらの個別機能概要は,表1・表2・表3・表4 に示すとおりである.

 この HTML-CGI系 が機能するためには, WebサーバとCGIスクリプトのインタープリタが必要となる. 我々の選択では,Linux OS を採用し,Apache Web サーバと Perl言語のCGI を用いている. それらのサービスソフトウェアは,いずれもよく知られたオープンソースの フリーソフトであり,それぞれ GNU public licence と Apache license のもとに 広く配布されている.

表1 DPAM群プログラム
Program Function
alog2asc, daq2asc,
bdaq2asc, dmaq2asc
各種収録生データの共通ASCII形式への変換
xldam, xldpn,
xldhg
共通ASCII形式生データから DPAM line データ生成
filtadasc ADCデータの高周波ノイズ抑制処理
despike 磁力値データのスパイク除去
dvcorr 磁力値に対する日変化補正処理
ecomp, fcomp 機体磁気補償処理
ggrid, ggrids ランダム点データから格子点データ生成
xslin, xslina DPAM line データからStdLIN形式データへ
pframe 緯経度・使用座標系相関図作成
pltrk DPAM line データの航跡図化
pchkdv 定点磁力値データの図化表示
pchkmag, pchkres 測線の磁力値データを図化
pchkcomp 機体磁気補償処理前後の残差磁力値を図化
表2 GDMP群プログラム
Program Function
sel, seldb,
seldb2
既存格子点データから指定範囲の格子点データを切り出し
gtopo 地形高度の格子点データを生成
adjlv 格子点データ値のDCレベルを調整
gadd, gsub 2つの格子点データの加算・減算処理
gtrim 参照データの格子点データ値が未定義の範囲について 対象ファイルの格子点データを未定義値に置換
govlay,
gojoin,
gmerge
複数の格子点データを結合した格子点データを生成
txproj 格子点データを別の展開図法上のデータに変換
altchg 格子点データの高度情報を置換
gtrf IGRF残差磁力値格子点データに対してIGRFモデルを変更
altx 格子点データからその高度情報を格子点データとして抽出
rearx マルチセット格子点データから1セットのみを抽出
plmap,
plmapc
格子点データの等値線図/カラー段彩図を描画
plmapl,
plmapcl
格子点データの等値線図/カラー段彩図を航跡つきで描画
plmapg 格子点データのグレイスケール段彩図を描画
shade 格子点データの陰影図(モノクロ)を描画
plmaps 格子点データの陰影つき等値線図を描画
plmapcs 格子点データの陰影つきカラー段彩図を描画
xplmap plmap の拡張機能版
xplmapc plmapc の拡張機能版
xplmapcs plmapcs の拡張機能版
 
表3 ANAM群プログラム
Program Function
emag, emagf,
amag, amagc,
cmag, cmagf
磁化強度マッピング処理の各ステップ
plamag, plamagc 磁化強度マッピングの処理結果の図化表示
tmcorr, tmcfix 一様磁化の地形効果の除去
lcecorr,
aaptdp
ループ電流ソース/点磁気ダイポールソースの影響除去
calmas 初歩的形状ソースの磁気異常計算
galtf 実探査飛行高度を示す曲面の高度格子点データを生成
galts 探査飛行高度を平滑化した曲面の高度格子点データを生成
emeq,
ameq, ameqc,
cmeq
等価アノマリを用いた高度リダクション法を 格子点データに適用する処理の各ステップ
emeqs,
ameqs, ameqsc,
cmeqs, rpmeqs
等価ソース分布を用いた高度リダクション法を 格子点データに適用する処理の各ステップ
edeq,
adeq, adeqc,
cdeq
等価アノマリを用いた高度リダクション法を 測線データに適用する処理の各ステップ
edeqs,
adeqs, adeqsc,
cdeqs, rpdeqs
等価ソース分布を用いた高度リダクション法を 測線データに適用する処理の各ステップ
表4 ANAMX群プログラム
Program Function
eimgd, eimga 各種の磁化強度3Dイメージングに共通の寄与係数行列の計算処理. (深度スケーリング または 自動スケーリングによる)
aimgn, aimgnc 層厚補正なしの単純3Dイメージング解析
aimgs, aimgsc 層厚補正つきの単純3Dイメージング解析
nimgn, nimgnc 層厚補正なしのノルム最小化3Dイメージング解析
nimgs, nimgsc 層厚補正つきのノルム最小化3Dイメージング解析
cimgn,cimgnc 有効ソース個数最小化3Dイメージング解析
cimgs, cimgsc 有効ソース体積最小化3Dイメージング解析
fimgs, fimgsc 磁化強度範囲を制約した有効ソース体積最小化3Dイメージング解析
plimv, plimvc 3Dイメージング解析結果の層別鳥瞰図を描画
plsim, plsimc 3Dイメージング解析結果の東西または南北の断面図を描画
plxim, plximc 3Dイメージング解析結果の任意方向の断面図を描画
exdeq1, exdeq2, exdeq3 等価アノマリによる測線データからの高度リダクションの処理と併せて, 交点コントロール(測線レベル補正)を行う処理の準備
exdeq4 繰返し磁気探査データから磁気異常変化を抽出する処理の準備
axdeq, axdeqc exdeq1/exdeq2/exdeq3/exdeq4で準備された係数行列を使って, 最適な等価アノマリの分布と交点オフセットモデルを導く
cxdeq axdeq/axdeqcで得られた等価アノマリの分布から, 指定曲面での異常分布を計算する
genroff axdeq/axdeqcで得られた交点オフセットモデルを磁気異常変化とみなし, その分布のランダム点データ(StdLIN形式)に変換する
plmvarc 磁気異常変化グリッドデータのカラー段彩つきコンター図を描画

3.AMXS システム構築手順

 ここでは,AMXSシステムの全体を構築する手順を, 我々が実際に行っている方法を例として示す. 現実には,ユーザそれぞれの構築法が可能であるが, そのバリエーションについては言及しない. このシステムの構築には,
  (1) AMSS3 実行バイナリの生成 および 参照データとマニュアルの設置,
  (2) AMXS の HTML文書類 と CGIスクリプトの設置 および CGIユーティティの実行バイナリ生成,
  (3) AMXS 実行環境(Webサービス)設定
が必要となる.

3.1 AMSS3 実行バイナリの生成 および 参照データとマニュアルの設置

 我々は Linux OS のインスト-ルされた PC の ディレクトリ /home/SHARE に,AMSS3 のプログラム群を置くように しており,その配置を,地調研究資料集 no.648 (Nakatsuka and Okuma, 2018) に 収容されているファイルの構造との対比で示すと,ワイルドカード表記も用いて, 以下のようになる.

    [Openfile report no.648]    [Target Linux machine]      [内 容]
    no0648/*.html               /pub/html/man/*.html              (マニュアル)
    no0648/libgm/*.html         /pub/html/man/libgm/*.html
    no0648/libgm/figs/*         /pub/html/man/libgm/figs/*
    no0648/lib/*                /home/SHARE/lib/*           (プログラムソース)
    no0648/utils/*              /home/SHARE/utils/*
    no0648/dpam/*               /home/SHARE/dpam/*
    no0648/gdmp/*               /home/SHARE/gdmp/*
    no0648/anam/*               /home/SHARE/anam/*
    no0648/anamx/*              /home/SHARE/anamx/*
    no0648/Tplate/*/*           /home/SHARE/Tplate/*/*          (テンプレート)
    no0648/data/                /home/SHARE/data/           (サービスデータ用)
      ---                       /home/SHARE/bin/              (実行バイナリ用)

 ここに,/home/SHARE/bin は, コンパイル後の実行バイナリを置くディレクトリであり, 上記の配置の後に,下記のコマンド実行 (csh環境) の操作を行うと, その実行バイナリを生成できる.

        cd /home/SHARE
        alias fort gfortran
        chmod +x */@mkall
        cd lib
        ./@mkall
        cd ../utils
        ./@mkall
        cd ../dpam
        ./@mkall
        cd ../gdmp
        ./@mkall
        cd ../anam
        ./@mkall
        cd ../anamx
        ./@mkall
なお,/home/SHARE/data/ に収容すべきサービスデータについては, 地調研究資料集 no.648 (Nakatsuka and Okuma, 2018) に記載の対応を 行う必要があり,用意されていない日本周辺以外等のデータについて, 適合する書式・ファイル命名規則のデータをユーザが追加することもできる.

3.2 AMXS の HTML文書類 と CGIスクリプトの設置 および CGIユーティティの実行バイナリ生成

 この報告書に含まれる HTML文書・画像ファイル類・CGIスクリプト ほか のファイルは,以下のように配置する.

    [This report]               [Target Linux machine]      [内 容]
    no0655/html/AMXS/*          /pub/html/AMXS/*                (HTML文書ほか)
    no0655/html/AMXS/forms/*    /pub/html/AMXS/forms/*
    no0655/html/AMXS/progs/*    /pub/html/AMXS/progs/*
    no0655/html/AMXS/fout/      /pub/html/AMXS/fout/            (ワークエリア)
    no0655/cgi/AMXS/*           /pub/cgi/AMXS/*                (CGIスクリプト)
    no0655/cgi/AMXS/bin/*       /pub/cgi/AMXS/bin/*    (CGI-Utilityバイナリ用)
    no0655/cgi/AMXS/bin/src/*   /pub/cgi/AMXS/bin/src/*    (CGI-Utilityソース)

  CGIが呼出す小さなユーティリティの実行バイナリは, ソースの置かれるサブディレクトリ /pub/cgi/AMXS/bin/src にある シェルスクリプト @mkall を実行することにより, その親ディレクトリ /pub/cgi/AMXS/bin に生成するが, その処理の前に 'zlib''libpng' の両ライブラリが実装されている必要がある.

3.3 AMXS 実行環境(Webサービス)設定

 上記の HTML文書とCGIスクリプト の配置は,それらファイルへの実アクセスを 行う Webサーバ(Apache)に指示しておく必要があり,その設定ファイル /etc/httpd/conf/httpd.conf に対して,

      DocumentRoot  "/pub/html"
      ScriptAlias  /cgi/  "/pub/cgi/"
が有効となるように,また それらディレクトリに対する各種設定が Webサービス内容に適した内容となるように 記述の追加または修正を行う.

 配置した HTML文書とCGIスクリプトは,ユーザ apache [Webサーバ] が 読み取ることを許容するように アクセス制限の設定を行う必要がある. また,実行バイナリ および CGIスクリプト(ファイル拡張子が.cgi) は, ユーザ apache [Webサーバ] が それを実行できるように設定する必要がある. 一般に プログラムのコンパイル処理で出力される実行バイナリはその設定が 済んでいるが,コードを配置しただけの CGIスクリプトに対しては, "chmod +x *.cgi" のコマンド実行によって その設定を行う.

 AMXS 実行時に使用するデータは,/pub/AMXS/ を親ディレクトリ とする単一階層のサブディレクトリを置いて その中に収容する. この親ディレクトリは,ユーザ apache [Webサーバ] が そこにファイル・ディレクトリの作成・読み書き・削除が行えるように 設定しておく必要がある.
 同様に,ディレクトリ /pub/html/AMXS/fout/ も, AMXS の実行時に Webサーバが 内部的なワークエリアとして用いるので, ユーザ apache [Webサーバ] が そこにファイルの作成・読み書き・削除を 行えるように設定しておく.

4.AMSS3ソフトウェアに対する望ましい更新

 AMSS3 ソフトウェア については,その公開からそれほど長い期間を経ていないが, 若干の「望ましい更新」が認められている. その内容は,各プログラムの目的動作の不良を意味するものではなく,Logファイルへの 出力の間違いや不足の類であるが,一部プログラムのAMXS配下での動作で 表示のリアルタイム性がそがれる状況が 判明している. この点は,長い処理時間を要すると見られる 共役勾配法によるループ処理の プログラムにおいて,AMXS 配下でのリアルタイム表示が停滞し, 処理の進行状況の正しい把握が行えないことを意味する.

 この「望ましい更新」の内容は,本報告書の AMSS3patch ディレクトリ内に, 4つのパッチファイルと,4つの簡略メモのテキストファイル として収容してある. パッチファイルは,ソースプログラムのディレクトリ毎のファイルとなっており, ソースファイルの数では,合計 35ファイルとなっている.
 これらのパッチの適用に当たっては,先ず /home/SHARE/配下に ORG なるディレクトリを作成して, lib, utils, dpam, gdmp, anam, anamx, Tplate の各ディレクトリの オリジナルコピーを ORGディレクトリ の下の 同名のサブディレクトリとして作成する. その後,各パッチファイルに対して,

      patch -p0 < (patch filename)
を実行すればよい.

5.AMXS の GUI 動作画面とその構成

5.1 AMXS の初期画面

 左画像は,AMXS起動時の初期画面であり,各種マニュアルと参考データへの リンクが下段に掲げられているが,中央の [START] ボタンのクリックによって システムの動作を開始する.

5.2 AMXS の動作環境設定 と 実行プログラム選択

 左画像が,AMXS 開始時の画面であり,4つのフレームで構成されているが, そのうち2フレーム(Frun, Fhid) は内部的な用途のため, 通常は隠れた状態に設定されている. また,画面の下段が Fbotフレームであり,はじめは空白であるが, 各種操作を行ったときに,操作の詳細を指定する画面に利用されたり, 操作の結果が示される. 表示されている Ftopフレームには,左寄りに動作環境設定やファイルの Upload/Downloadなどを行うための部分があり,右寄りに実行プログラムの 一覧リストがある.青い三角印の-+の表記は その群の一覧表示の 折畳み/展張 を行い,ANAM群とANAMX群 の一覧は切替えて表示する. 実行プログラムのリスト自体が,各プログラム起動のためのリンクとなっており, そこをクリックすれば,個別プログラム実行のためのパラメータ設定画面に 移行する.

 一連の作業を行うプロジェクトに対して動作ディレクトリを設定するのを 基本に考えており,動作環境の設定として その WorkingDirectory と プログラムの実行内容を記録する ログファイルの設定を行う. また,設定した動作ディレクトリへのファイルのUploadや,結果ファイルの 表示,図化ファイル(PostScriptファイル)のグラフィック表示(GSviewによる) などを行うことができる.
 図中の各ボタンについて,[Select], [CreateNew] は 文字どおり, ディレクトリ・ファイルの選択・新規作成を行い,[Files] はファイル名一覧表示, [ls -l] は Unixコマンド "ls -l" 相当の表示出力 を行い,[tail] はログファイルの 末尾10行ほどを表示する. "Download", "Show", "Remove" の下線つき青色文字は, その上のファイル名欄に指定したファイルに対して, ダウンロード・テキスト表示・削除の処理を行う. また,[GSview]ボタンは,図化ファイル(PostScriptファイル)の一覧からファイル を選択して GSview ソフトウェアによる画面表示を行うものであり, [FileUpload]ボタンは,アクセス元のPCから処理に用いるファイルを Uploadするために用いる.

5.3 個別プログラムの実行パラメータ設定

 左画像は,個別プログラムの実行パラメータ設定画面の実例からとった2画面 を示し,上側は plmapcプログラム画面で [Data-Range]ボタンを操作したところ, 下側は eimgaプログラム画面で [cal IGRF]ボタンを操作したところ を示している.

 それぞれの画面には,上部中央にプログラム名とその簡単な説明があり, その両端部に 実行プログラム選択に戻る [Back]ボタン と パラメータ設定内容を白紙に戻す [Clear]ボタンがあり, 青系統の背景色で構成された各種パラメータ設定の作業エリアの下に, プログラムの実行を指示する [GO]ボタンがある.
 各種のパラメータの設定には,ごく一般的な「入力Box」のほかに, 限られた選択肢から選択する セレクトBox・ラジオボタン,ON/OFF または Yes/No 選択に相当する チェックBox が使われている. また,画面に置かれた 操作ボタン は,パラメータ設定のために有用な情報を 下側の Fbotフレームに表示したり,既存ファイル名一覧を Fbotフレームに表示して マウス操作でファイル名を選べば その名前を「入力Box」に記入するなどの 便利な機能を実装している.
 上側の plmapcプログラム画面の [Data-Range]ボタン操作では,入力データの 格子パラメータと データ値の変域情報が,Fbotフレームに表示され,下側の eimgaプログラム画面の [cal IGRF]ボタン操作では,FbotフレームにIGRF計算の Utility画面が示され,緯経度等を入力して [Calc]ボタンをクリックすると, IGRFの伏角・偏角と全磁力値が計算され,さらに [OK set]ボタンを操作すると, その伏角・偏角値が,当該パラメータの 入力Box に記入される.

 なお,[Select], [Files],[ls -l],[tail -n], [head -n] などのボタンの機能は,実行プログラム選択画面と同様である.

5.4 実行パラメータ設定支援の各種ユーティリティ

 前節に大略を示したように,個別プログラムの実行パラメータ設定の画面には, パラメータ設定を支援するための多様な仕組を用意している. そのうち,簡単な内容のものについてはさらに言及の必要はないであろうが, AMXS システムとして特有の機能と思われるものが いくつか存在する. 前節の例に示された [Data-Range]ボタンの機能 と [cal IGRF]ボタンの機能 についてはすでに述べたが,それらの機能は,それぞれ 17プログラム と 13プログラム に実装されている. 以下では,それ以外の項目について記す.

 AMXS システムでは,物理量の2次元分布を格子点データとして扱うことが多く, その既存のデータに対して,範囲を示すパラメータを扱う局面が多くある. その範囲を指定する際に,データ自体のカラー表現図などをグラフィック画面に 表示した状態でマウス動作で範囲を指定できるように考慮した Utilityを開発し, 14 のprogramに [Graphic]ボタンから起動できる仕組みを用意した. この Utilityは,格子点データの陰影つきカラー段彩図で範囲指定するものと, 測線位置データのモノクロ航跡図上で範囲指定するものがあり,両者とも同名の [Graphic]ボタンから起動する.

 
 上の画像は,その画面例を示しており,既存データベースの磁力データから, ターゲット領域のデータを切り出すものである. 入力データファイルの設定ののち,[Graphic]ボタンをクリックすると, 右側に示している子画面が現われ,その上でのマウス操作で範囲の選択・調整が 行える. 子画面の [OK]ボタンをクリックすると,その時点の範囲設定情報が 親画面(図中の青楕円部)に転送され,子画面は閉じられる.

 上の画像(親画面)には,"Read from Org." の表示のボタンがある. このボタンは,入力データ自体の範囲情報をそのまま取り込むもので, もとの範囲情報に対して正確な相対関係で指定したい場合などに, 取り込んだ後に手修正する形で用いる. このような [Read from ~]形式のボタンが,合わせて 9プログラムに 実装されている.

 ほかに,図法展開座標系番号指定の参考として,その一覧図(画像)を 表示する機能([Proj. Inf.]ボタン)が,9個のプログラムに, IGRF の世代番号指定の参考となるその制定の歴史を示す簡略図解の画像を 表示する機能([IGRF Inf.]ボタン)が,4プログラムに 実装されている.

5.5 プログラム実行中・実行完了時の画面

 
 プログラム実行にある程度以上の時間がかかるプログラムの場合, その実行中から実行終了にかけては,上の画像で示すように, Ftopフレームにはプログラムからの文字出力の状況を示し, Fbotフレームでは,黄色の背景色でプログラムが実行中であること, 実行完了時には水色の背景色で実行完了の情報を示す. 実行中には,上辺の [ABORT execution]ボタンをクリックすることにより, プログラム実行を強制終了させることができる.
 実行完了時のこの画面から先に進むには, 水色の背景色のメッセージで示しているように,Ftopフレームの末尾に ある [OK]ボタン をクリックする必要があり, プログラム実行が正常に行われたことを確認する.
 不幸にして,エラー終了した場合は,[OK]ボタンの直前にエラーの内容が 示されている筈であるので,その内容を確認する必要がある. このエラー情報は,[OK]ボタンをクリックした後には画面から消え, ログファイルには,何も記録されない仕様となっているので, 気をつけること.

 なお,プログラムの実行開始にあたっては,設定された実行パラメータ値の 簡単な妥当性チェックを行っており,適切でないパラメータを検出すると, 右画像(例)のような警告が Fbotフレームに示されて,その実行開始が抑制される.

5.6 実行結果データの確認

 プログラムの実行完了を確認すると,画面は「実行プログラムの選択」の画面に 移行する.ここで,処理結果を確認するために,図化出力(PostScriptファイル)の 一覧から選択した図を GSviewソフトウェア を用いて 画面にプレビューしたり, ログファイルやその他のテキスト形式データを画面表示して確認することができ, 必要なファイルのダウンロード保存を行うこともできる.
 なお,GSviewソフトウェア(または相当ソフトウェア)は,Ghostscript ソフトウェアとともに クライアントマシンの側にインストールされている必要が ある.
 
 上の画像は,左側が 図化出力ファイル(PostScriptファイル)の一覧から選択して GSview によるプレビューを表示した例,右側はログファイル(単純Textファイル)を 選択して表示した例である.
 同様に,任意のファイルを選択して 下線つき青色文字 "Download" を クリックすることにより,当該ファイルのダウンロード保存ができる.

6.この資料に収容されているファイル

 この資料に添付の CD-ROM には,HTML文書 (ファイル名拡張子 .html) と CGI Perl スクリプト (ファイル名拡張子 .cgi) を中心とする AMXS システム構築に必要なファイル群と,この研究資料集の内容の電子ファイル が,下記のようなツリー構造で収容してある.

openfile0655.html       (Cover page HTML)
no0655/                 (Directory for all contents except Cover page HTML)
 |
 +-- indexE.html            (Overview of this report  in English)
 +-- index.html             (Overview of this report: This document)
 +-- fig1.png, fig5-1.png, fig5-2.png, fig5-3.png,
 |   fig5-4.png, fig5-5.png, fig5-6.png, fig5-7.png
 |                          (8 PNG images))
 +-- html.tgz               (TGZ archive of whole 'html' directory)
 +-- cgi.tgz                (TGZ archive of whole 'cgi' directory)
 +-- AMSS3patch.tgz         (TGZ archive of whole 'AMSS3patch' directory)
 |
 +-- html/
 |    |
 |    +-- AMXS/                 (Directory for contents of HTML pages of AMXS)
 |         |
 |         +-- index.html           (Top page jumping to 'entry.html')
 |         +-- entry.html           (AMXS entrance page)
 |         +-- amxs.css             (Common style-sheet definition)
 |         +-- gsj.png, aist.png    (2 PNG images)
 |         |
 |         +-- forms/               (Directory for HTML to select program, etc.)
 |         |    |
 |         |    +-- axmain.html, axhid.html, axtop.html,
 |         |    |   axtop.0.html, axtop.1.html, axtop.2.html, axtop.3.html,
 |         |    |   axtop.4.html, axtop.5.html, axtop.6.html, axtop.7.html,
 |         |    |   axtop.8.html, axtop.9.html, nothing.html, blank.html,
 |         |    |   selcda.html, selcdc.html, igrf.html, proj.html
 |         |    |                       (19 HTML files)
 |         |    +-- arrow.png, show.png, hide.png, igrf.png, proj.png
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 |         +-- fout/                (Internal work area)
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 |              +-- @memo.txt           (Information on 'fout' subdirectory)
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 +-- cgi/
 |     |
 |     +-- AMXS/                (Directory for contents of CGI scripts
 |          |                    and CGI utilities called from CGI)
 |          +-- acqPATHs.pl         (Common setting perl script)
 |          +-- caligrf.cgi, complete.cgi, defgp.cgi, defgpdb.cgi,
 |          |   defpgp.cgi, dnload.cgi, dnload2.cgi, drange.cgi,
 |          |   exabort.cgi, files.cgi, gsview.cgi, head.cgi,
 |          |   headdb.cgi, headg.cgi, lslong.cgi, newlog.cgi,
 |          |   newlog2.cgi, newwdr.cgi, newwdr2.cgi, psdload.cgi,
 |          |   refresh.cgi, refresh1.cgi, remove.cgi, remove2.cgi,
 |          |   rmcwd.cgi, rmcwd2.cgi, runprog.cgi, runprog2.cgi,
 |          |   runprogx.cgi, selfl.cgi, selfnm.cgi, sellog.cgi,
 |          |   selwdr.cgi, setgp.cgi, setgp1.cgi, setgpdb.cgi,
 |          |   setgpr.cgi, show.cgi, tail.cgi, upload.cgi,
 |          |   upload2.cgi         (41 CGI perl scripts)
 |          +-- setgp.par           (Parameter data for mkmpng/mktpng utility)
 |          |
 |          +-- bin/                (Direcrtory for CGI utility binaries)
 |               |
 |               +-- src/               (Direcrtory for CGI utility sources)
 |                    |
 |                    +-- @mkall            (Script to build CGIutil binaries)
 |                    +-- darea.c, drange.c, igrfidf.c, mkmpng.c, mktpng.c
 |                    |                     (C language sources of CGIutil)
 |                    +-- setgp_template.png
 |                                          (PNG image only for reference)
 |
 +-- AMSS3patch/            (Directory for patch files against AMSS3 sources)
 |    |
 |    +-- dpam_201807.patch, anam_201807.patch, anamx_201807.patch
 |    |                         (3 patch files for source program directories)
 |    +-- dpam_tp_201807.patch  (1 patch file for Tplate/dpam_tp directory)
 |    +-- @update-dpam.txt, @update-anam.txt, @update-anamx.txt,
 |        @updateTP-dpam_tp.txt   (4 text files of notes on source update)
 |
 +-- PDFs/                  (Directory for PDF files of this report)
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参 考 文 献         [年代順]
  1. Nakatsuka, T. [1995] Minimum norm inversion of magnetic anomalies with application to aeromagnetic data in the Tanna area, Central Japan. J. Geomag. Geoelectr., 47, 295-311.
    https://doi.org/10.5636/jgg.47.295
  2. Nakatsuka, T., and Okuma, S. [2006a] Reduction of geomagnetic anomaly observations from helicopter surveys at varying elevations. Explor. Geophys., 37, 121-128; Butsuri-Tansa (Geophys. Explor.), 59, 121-128; Mulli-Tamsa (Geophys. Explor.), 9, 121-128.
    https://doi.org/10.1071/EG06121
  3. Nakatsuka, T., and Okuma, S. [2006b] Crossover analysis for the aeromagnetic survey at varying elevations, and its application to extracting temporal magnetic anomaly change. Butsuri-Tansa (Geophys. Explor.), 59, 449-458.
    https://doi.org/10.3124/segj.59.449
  4. Nakatsuka, T. and Okuma, S. [2009a] Aeromagnetic 3D subsurface imaging with source volume minimization. Extended Abstracts, 9th SEGJ Intl. Symp., 6 (4p.), Soc. Explor. Geophys. Japan.
    https://doi.org/10.1190/segj092009-001.2
  5. Nakatsuka, T., Utsugi, M., Okuma, S., Tanaka, Y., and Hashimoto, T. [2009b] Detection of aeromagnetic anomaly change associated with volcanic activity: An application of the generalized mis-tie control method. Tectonophysics, 478, 3-18.
    https://doi.org/10.1016/j.tecto.2009.02.018
  6. Okuma, S., Stotter, C., Supper, R., Nakatsuka, T., and Furukawa, R. [2009c] Aeromagnetic constraints on the subsurface structure of Stromboli Volcano, Aeolian Islands, Italy. Tectonophysics, 478, 19-33.
    https://doi.org/10.1016/j.tecto.2009.02.035
  7. Nakatsuka, T. [2009d] Library software for geophysical data processing and representation (3). GSJ Open-file Report, no.518, 107p. (with 1 CD-ROM).
    https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2009/openfile0518.html
  8. Nakatsuka, T. [2009e] Software system for aeromagnetic data processing, grid data manipulation, and reduction and quantitative interpretation of magnetic anomaly data (2). GSJ Open-file Report, no.519, 70p. (with 1 CD-ROM).
    https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2009/openfile0519.html
  9. Nakatsuka, T. and Okuma, S. [2011] Aeromagnetic 3D subsurface imaging in the Otoge Cauldron, Shitara area, Central Japan. Proc. 10th SEGJ Intl. Symp., 285-289, Soc. Explor. Geophys. Japan.
    https://doi.org/10.1190/segj102011-001.70
  10. Nakatsuka, T., and Okuma, S. [2014a] Aeromagnetic 3D subsurface imaging with effective source volume minimization and its application to data from the Otoge cauldron, Shitara, Central Japan. Explor. Geophys., 45, 16-23.
    https://doi.org/10.1071/EG13022
  11. Okuma, S., Nakatsuka, T., and Ishizuka, Y. [2014b] Aeromagnetic constraints on the subsurface structure of Usu Volcano, Hokkaido Japan. Explor. Geophys., 45, 24-36.
    https://doi.org/10.1071/EG13041
  12. Nakatsuka, T. and Okuma, S. [2018] AMSS3: Software system for aeromagnetic data processing, grid data manipulation, and reduction and quantitative interpretation of magnetic anomaly data (3). GSJ Open-File Report, no. 648, 127p. + 1 CD-ROM, Geol. Surv. Japan, AIST.
    https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2017/openfile0648.html