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三宅島ヘリ観察報告: 2002年10月2日

観察・報告: 宮城磯治 (産総研・国際部門 国際地質協力室)

同乗者:地震研の古屋さん、気象庁の尾台さんと飯野さん。

ヘリ:東京消防庁の「つばめ(SA365N; JA9980)」、クルー4名


概要:

台風一過の好天で視程は良好。雄山山頂部には雲底1000m程度の雲があるが、 火口観測に支障はなし。

噴煙: 白色噴煙が山頂上約200mに上昇。その勢いは比較的安定している。 観察中1度だけ(13:24頃)やや大きなプリュームを観察した。 上空の風は南西、約10m/s。これにより噴煙は三池〜赤場暁方面に流れる。 ガスの量は中〜やや少なめ。白煙は山麓に達した付近で消滅し、 その風下には青白いガスが残る。

陥没カルデラ内:主火口群からの白煙は2002年9月25日と比較すると多いが、 これは前夜の台風の影響かもしれない。 主火口群北側のマウンド内には小さな三日月型の池 (観察時既に乾いている可能性あり)がある模様。 カルデラ底では、 既存の池は面積が拡大している。 カルデラのほぼ中央付近(火孔マウンドの下)には、池が出現した (この場所は新規か?)。 それらの色は、中央の池はやや赤く、周辺のそれらはやや緑色である。
銀塩カメラによる写真あり。→ こちらです

カルデラリム: 特に大きな変化は認められない。 すおう穴の下およびカルデラ縁の西部では、 小規模な崩落が継続している模様。

池や水たまり: 伊ヶ谷の貯水池、村営牧場のため池、山腹の水たまり、 神着の南にある川田沢貯水池は、鮮かな青色 (恐らく大久保浜の砂防ダムも同種の色)。 すおう穴はやや赤みがかった灰色。 大路池は普通の陸水色(暗い青緑)を呈する。

沿岸: 三宅島の沿岸の海水は各所で変色している(暗灰色〜明るい緑)。 大路池の西沿岸では、変色水の境界付近に赤茶色の浮遊物がみられた。


行程:

6:03 つくば発。
7:20 東京ヘリポート着。
9:12 東京ヘリポート離陸。
9:52 伊豆大島東方海上付近から、三宅島を目視。
10:10 三宅中学着/離陸。古屋さんおりる。火口観測開始。
10:32 火口観測を終了し、神津島へ。
10:43 神津島空港着陸。燃料補給&昼食。
12:43 神津島空港を離陸し、三宅島へ。
12:55 三宅中学ヘリポートに着陸(COSPEC機器設定)。
13:00 三宅中学ヘリポート離陸。
13:07-13:37 COSPEC観測。
13:41 三宅中学ヘリポートに着/離陸。古屋さん乗る。
14:08 神津島空港に着陸し、燃料補給。
14:43 神津島空港を離陸。
15:34 東京ヘリポート着。
17時ごろ つくば着。


画像;スライドショーは→こちら

:お世話になったヘリ

:9時12分離陸。離陸直後の東京湾。視程は良好。昨晩の台風のため、湾内は泥水が目立った。

:伊豆大島を通過。洋上も視程は良好だが、南ほど悪くなる傾向あり。

:9時52分ごろには三宅島が目視できた。三宅島付近は南西の風が10m/s程度。 山頂部には雲底1000m程度の雲がかかるが、火口観測には問題なし。 噴煙は山頂から100-200m程度まで、ほぼコンスタントに上昇していた。

三宅島到着後すぐ三中ヘリポートに着陸し、重力測定データ回収のため地震研の古屋さんが降機。10時10分離陸。

:陥没カルデラの北外壁。大きな変化はなし。

:陥没カルデラ内の視程は良好。火孔温度観測by気象庁の飯野さん。

:村営牧場

10時32分、火口観測を終了。

:10時43分、神津島空港に着陸。燃料補給と昼食。

:COSPEC装置の調整をする気象庁の尾台さん、飯野さん。

:神津島空港の展望デッキ。昨晩の台風により、ガラスに砂が付着している。

:展望デッキの床には、割れたばかりのガラスを含む砂が堆積していた。右の網入りガラスパネルが破損していた。

:神津島空港の駐車場では、クルマの窓ガラスが割れていた。

:12時43分神津島を離陸。三宅島付近でSO2(COSPEC)観測を行う。

:午前中の火口観測時からCOSPEC前半まで、噴煙高度はほぼ安定しており、山頂から100-200mであった。

:噴煙高度は安定していたが、13時24分頃、やや大きなプリュームが発生した。

:13時24分頃プリュームが発生した後は、噴煙高度は再び安定した。

:13時37分、COSPEC観測終了。13時41分、山中ヘリポートに着陸。古屋さん搭乗。13時44分離陸。再び神津島空港に向かう。

伊ケ谷付近の沿岸にみられた変色水は、泥水によると思われる。

:14時8分神津島空港に着陸。燃料補給後、14時43分に離陸。

:東京に戻る途中、伊豆大島で自動車輸送船の座礁現場上空を通過。

:15時32分東京ヘリポートに着陸。


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