GSJニュースレター No.9  2005.6
CPC2005年理事会報告  大久保 泰邦 (地質調査情報センター)
右から2番目がCCOPのChen Shick Pei事務局,3番目が米国地質調査所のDavid Howell氏.

 CPC(Circum-Pacific Council for Energy and Mineral Resources,環太平洋エネルギー鉱物資源協議会)の2005年の理事会が,チリのサンチャゴ(昨年は米国ハワイ)で4月20〜22日に開催された.出席者は米国,カナダ,メキシコ,エクアドル,コスタリカ,チリ,ロシア,日本,パプアニューギニア,ニュージーランドから20名,またCCOPからChen Shick Pei事務局長,SOPACから元所長のAlfred Simpson氏,合計22名であった.

 CPCは1972年に創立された非政府組織で, (1)太平洋地域での地球資源と自然災害の知識の向上,(2)地質学,水理学,生物学,海洋学等の研究者の協力推進,(3)地図類,印刷物の発行や,シンポジウムやワークショップの開催による地球科学情報の普及等を目標としている.

 国際的な理事会(Board of Directors)と執行委員会(Executive Committee)により運営されており,現在米国地質調査所のDavid Howell氏が理事長,米国地質調査所国際部(Nancy Zeigler氏)が事務局を引き受けている.

 今回の議題は,地域報告,世界エネルギーサミットと骨材資源プロジェクトなどのプロジェクト進捗報告,インド洋津波ワークショップ報告,「Powering the Rim」,講演「チリにおける顕著な広域地震分布」,などであった.

 CPCは加盟費を集めないボランティアベースの国際組織である.理事は政府を代表するわけではなく,例えば地質調査総合センターあるいは地質調査情報センターを代表することとなる.提案に対しては,その代表の責任で予算等を工面する必要がある.

 上記の理由からCPC自身はドナー(いわば財源)を探している.日本に対してはドナーとしての期待が大きい.CPCはエネルギー資源,鉱物資源,地質災害など幅広い分野を対象としており,GSJだけでなく,JOGMEC,JAMSTEC,国立環境研などと連携をとって協力することが必要となろう.例えば,世界エネルギーサミットの中国開催が難しい場合は日本で開催できないかとの打診があったが,この分野はどうしてもJOGMECや経済産業省資源エネルギー庁などの支援が必要になる.関係機関と連携をとることは,地質調査情報センターの重要な課題であり,これらのCPCの活動は,連携を積極的に推進するよい機会である.世界エネルギーサミットなどを契機に関連機関に参加を呼びかけ,重要性を認識してもらうことが戦略上必要となる.

 また議長のNahum Schneidermann氏より日本から新しい理事を選出してほしいとの提案があったが,これに対しても,日本の関連機関にCPCへの理解を促した上で依頼することが現実的である.

 骨材資源プロジェクトは現在,日本が主導している.これに関してはSOPACと連携を取り行う予定である.このワークショップを通して,SOPACのニーズを調査し,SOPACにおける新たな協力の展開を計画したい.

 南米との多国間協力が必要な場合には,このCPCのネットワークを積極的に活用することが考えられる.南米においては地熱分野での活動が活発である.しかし今後の日本との関係を考えた場合,鉱物資源が重要であろう.この分野での新しい提案を行うことが考えられる.

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GSJニュースレター No.9 2005.6
(独)産業技術総合研究所地質調査総合センター
GeologicalSurvey of Japan,AIST