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2005年1月27日に,タイ鉱物資源局,タイ海洋・海岸資源局,東京大学,資源・環境観測解析センター,産総研と共同で,地質調査データ,物理探査データ,人工衛星画像データを編集してタイ湾頭の激しい海岸浸食に対する対策を検討することを目的としたセミナーを,バンコクのタイ鉱物資源局のコンピューター室で開催した.参加者は主に若手のタイ政府の研究者,CCOP事務局の担当者など約20名であった.またそれに先立ち,1月25日にはヘリコプターによるタイ湾頭の激しい海岸浸食の調査を,1月26日には車移動による野外調査を行った. 1月27日のセミナーのプログラムは以下の通りである. ・挨拶 Pipop Wasumanichタイ鉱物資源局副所長 ・開会宣言 Chen Shick Pei CCOP事務局長 ・最先端人工衛星技術の紹介とタイ湾の海岸浸食の観測 ・ASTERデータの入手法と応用 ・チャオプラヤ川における高分解能反射法断面 ・タイ湾海岸の地質調査のまとめ ・討論 モデレーター 討論では,海岸浸食の課題は何か,原因は何か,対策は何か,について議論した.海岸浸食の課題は,生産性の高い工業地域や海岸付近の王室領を防ぐこと,観光地保護,また地元住民は海岸浸食によって移住を余儀なくされているので,そうした人々を守ることである.原因には,軟弱地盤であるデルタにおいてダム建設によって土壌の供給が不足するなどの原因による地盤沈下,海流や風況が最近変化したこと,海面上昇,埠頭や埋立地建設など人工構造物による影響,などが考えられる.対策については,現在主に石による護岸工事が行われているが,これだけでは不十分であり,他の手段を考える必要がある.しかしテトラポッド敷設や防波堤建設などの日本が行っている手法は,高価であること,観光地では景観が損なわれること,軟弱地盤での有効性は不明であること,などの理由で導入が難しい. また原因は場所によって異なり,そのため対策も一様でないはずである.海岸地域は,工場立地,漁港,エビ養殖,観光地,住居,軍事施設,寺院などさまざまな用途に利用されている.それぞれの分野で個別に活動しているため,全体を設計・管理することは難しい.原因と対策について,それぞれの地域,分野ごとにレポートをまとめ,それらをバインドすれば,これが今後の全体の設計・管理の基礎データとなるとの意見が出された.原因と対策を検討するデータとしては,地表調査と併せて人工衛星データが有効であるとの意見であった. 東京大学はCCOPと協定を結んでおり,今後もアジアの海岸浸食などの環境変動を対象とした研究を行う方針である. |
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