|
|||||||
2004年12月26日に発生したスマトラ島沖地震に伴う津波の痕跡調査を,2005年1月17日から2月1日までインドネシア,スマトラ島北部ナングロアチェ・ダルサラム州の州都バンダアチェ周辺にて行った.調査団は東京大学地震研究所の都司嘉宣助教授をリーダーとする日本人7名,米国人2名,インドネシア人6名の計15名で構成された. 現地調査は調査団の15名を4班に分け行った.堆積物調査班は,鎌滝,西村裕一(北海道大学地震火山研究観測センター),Andrew Moore(オハイオ州ケント州立大学,米国),Guy Gelfenbaum(米国地質調査所),Rahmat Triyono(インドネシア気象庁)の5名で,主にバンダアチェ西海岸の津波波高,遡上高の測定,津波堆積物の分布の調査を行った. 津波波高,遡上高は,建物に残された痕跡(建物の壁に残された水の跡),木に残された痕跡(折れた木の枝,木の枝に引っかかった浮遊物など),そして崖に残された痕跡(崖や地面に残された浮遊物など)の海水面からの高さを測定した.測定値は西海岸北方のランプークにて34.3m(潮位補正前値)を記録するなど,バンダアチェ西海岸ではどこも15〜30mという高い値を示した(潮位補正前値). 津波堆積物の分布調査は,海岸から内陸方向へと流れと同じ方向の測線を設定し,約50m間隔で津波襲来前の地表面から堆積物表面までの厚さを計測した.今回の津波によって形成された堆積物の厚さは0〜70cmで,水によって運ばれ堆積したことを示す堆積構造が観察された.また,1枚の津波堆積物には,複数の堆積ユニットが観察され複数回の堆積作用が生じたことを示唆する.1枚の津波堆積物の厚さは,微地形の起伏等に影響され変化に富むが,海岸から陸方向へと減少する. 今回の調査では,巨大津波がもたらした諸現象の観察,記載を行った.今後,採取した堆積物試料の解析作業を進めていく. |
|||||||
|
|||||||