噴火の規模・様式の多様性は,火山学者が一生のうちで遭遇する噴火の数に比べて多い.アジア太平洋諸国で互いに噴火の経験を共有化しておくことが必要である.互いの国の噴火現象,防災,災害などの現場を見ておくことが重要である.若手の研究者を中心に,相互に噴火体験の情報を交換して交流を深めるために,2004年12月7日〜14日の期間,火山災害のワークショップを開催し,十分時間をかけて議論し,野外巡検で現場をみる機会を与える企画を行った.
12月7日の発表会では,有珠火山2000年噴火について宝田晋治と東宮昭彦が,富士山の噴火史について石塚吉浩が,三宅島2000年噴火について宮城磯治と斎藤元治が,北海道駒ヶ岳1640年噴火について古川竜太が発表を行った.海外の招聘研究者では,インドネシア火山自然災害防災局からダナ・ヌラマット氏がパパンダヤン火山2002年噴火について,ロサディ・ウマール氏がスメル火山の活動について,パプアニューギニア地質調査所ラバウル観測所からヘルマン・パティア氏がラパウル火山1994-2004年噴火について,フィリピン地震火山研究所からマーベル・アビガニアさんが,マヨン火山の2000年と2001年噴火について発表を行った.8日と14日のテクニカルディスカッションでは,工藤 崇が十和田火山の活動史について,浦井 稔が衛星画像解析について,松島喜雄が噴煙の解析法について,バンディバスが東アジア災害図について,須藤 茂が火山灰災害について話題提供をした.最後に,噴火現象を理解するための一般向け普及活動の例として,マグマの上昇と割れ目噴火,溶岩流の流れ方,降下火砕物のアナログ実験を体験してもらった.
野外巡検は12月9〜13日に行われた.大島では,1986-87年噴火の経緯と全島避難の状況を説明し,その後の復興の様子を視察し,次の噴火への準備などを議論した(写真1).富士山では,産総研の研究内容の紹介し(写真2),内閣府のハザードマップと各自治体の対応を議論した.
第一回はこぢんまりとした会合であったが,説明不足のところは1対1ですぐに資料を交換したり,夜まで議論したりでき,将来の交流の種をまくにはよかったと思う.第二回のインドネシアでは,もっとオープンに,もっと多くの研究者が参加できればよいと思う.日本からも若手研究者が,インドネシアの活動している火山や災害現場を見ておいてほしいものである.
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