年次総会の第3日(11月17日)には技術セッションが開催された.本セッションでは「地下水管理」および「デルタの環境とその持続」と題する二つのテーマについて発表が行われた.両テーマ合わせて9カ国1団体から発表者が集い,23件の口頭発表(うち14件の招待講演)と4件のポスター発表が行われた.「地下水管理」セッションでは,地下水環境や資源としての地下水に関する各国のニーズや管理に対するそれぞれの問題点,さらに将来の地下水管理にむけての議論が行われた.「デルタの環境とその持続」セッションでは,陸と海との相互作用,特にアジアの河川とデルタに焦点をあてた発表が行われた.
地下水セッションは内部がさらに三分割されており,第一部は各国のケーススタディーが中心に議論され,地位制を加味した地下水の問題点がクローズアップされた.また,第二部では都市化と汚染に焦点が当てられ,時代と共に変わりゆく地下水環境が論議された.このセクションでは,今後の人口集中や都市化が加速されると予想される地域の近い将来の地下水に関する問題点が浮き彫りにされた.第三部では山地から海底下までという広範囲にわたる地下水の流動に焦点を当て,地下水流動理論やモデリングなどが議論された.このセッションを通じて,環境を異にした地域での地下水問題が明確になり,その結果,各地域あるいはCCOP全体として次に展開する地下水プロジェクトの姿が見えてきた.
デルタの環境とその持続セッションでは,基調講演の中で,世界の陸から海への水と堆積物などの物質輸送の特徴が論じられ,その中でアジアの河川がいかに大きな役割を担っているかを報告した.特に陸から海への堆積物の運搬は,オセア二アも含めると世界の7〜8割がこの地域で起こっていることや,各地の事例などから人間活動と突発的な自然現象が,沿岸域の環境とその持続大きな影響を及ぼしていることが示された.さらに,グローバルな気候変動や地下水流動との関連,国際的な大規模流域における研究事例が紹介された.最後にアジアのデルタは,広いデルタ平野を持つことで特徴づけられるが,過去千年から2千年間の人間活動によって土砂供給が急増して,同時にデルタも急速な成長を示していることなど,人間活動によるデルタの変容が大きな問題となっていることが報告された.
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