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写真1 レガスピ空港から見たマヨン火山.手前の丘には, PHIVOLCSの観測所がある. |
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写真2 マヨン火山のラハールで被害を受けた村と建物.現在は2-3mの堆積物に埋まっている. |
若手の研究者を中心に,相互に噴火体験の情報を交換して交流を深め,アジア太平洋諸国で互いに噴火経験を共有化するために,CCOP火山災害軽減のための野外ワークショップを2004-2007年の期間,活動的な火山で毎年開催している.第1回は,2004年に産総研が中心となり日本で開催した1).第2回は,インドネシア火山地質災害防災局が現地組織者となり,2005年,メラピ火山のお膝元であるジョグジャカルタで開かれた2).巡検で視察したメラピ火山は2006年に噴火し,ケルート火山は現在,住民が避難し危険な状況にある.第3回は,名称が変更された上記研究組織であるインドネシア火山地質災害防災センター(CVGHM)が現地組織者となり,2006年にインドネシアのバンドンで開催された3).巡検で訪れたクラカタウ火山は,現在噴火中である.
第4回は,2007年11月5日〜9日に,マニラ・ケソンシティーで,フィリピン地震・火山研究所(PHIVOLCS)が現地組織者となって開催した.インドネシアから2名,パプアニューギニアから1名,ホスト国であるフィリピンからは44名が参加した.PHIVOLCSからは,Solidum所長,Bautista副所長以下21名が参加した.鉱山地球科学研究所からは17名が参加した.産総研からは,森 健彦,及川輝樹,高田 亮が出席した.
はじめに,Solidum所長とCCOPプログラムディレクターのCaluyong氏が挨拶を行った.フィリピンからは,フィリピンの火山モニタリングの現状やSO2観測,ブルサン火山の最近の活動とハザードマップ,マヨン火山の2006年の噴火とラハール,マヨン火山の活動史などの講演があった. インドネシアからは,ソプタン火山とカランゲタン火山の活動報告とハザードマップなどが紹介された.パプアニューギニアからは,ガブナ火山の活動とハザードマップなどが紹介された.日本からは,高田が富士山の活動史とハザードマップのレビューを行い,森が口永良部島のSO2観測を報告し,及川が焼岳の活動史について発表した.最後に,鉱山地球科学研究所副所長の終了の挨拶があった.
巡検は,活動的な火山であるマヨン火山を訪れた.マニラの天気とは違って好天に恵まれ,飛行機の中で参加者は皆興奮気味であった.飛行場に降り立つと,手前のリグニョンヒルの奥にマヨン火山がそびえ立つ(写真1).この丘には,PHIVOLCSの観測所が建設されている.マヨン火山は,標高2460m.頻繁な山頂噴火が起こり,富士山と比べると山頂火口が小さく尖った印象を与える.マヨン火山は2006年7〜10月に,溶岩流流出の噴火が起こった.その後,11月の台風で,ラハールが発生し500名以上の犠牲者を出した.超大型台風が急激に進路を西に変えたため被害も大きかったと言われている.台風の強風と豪雨で住民は,避難できず家にいたため犠牲者の数が増えた.ラハールの大部分は,マヨン火山を被う最近の火砕流堆積物が雨で流れて発生したものと考えられている.災害から1年がたったがその爪跡は大きく,生々しい現場もあった(写真2).
今年は10月下旬にCCOP総会と管理理事会がセブで開催されたこともあり,現地にCCOPの行事の余韻が残っていた.特に,PHIVOLCSや鉱山地球科学研究所が組織だった行動をして,大変効率よくワークショップを行うことができた.この場を借りて,現地組織者にはお礼を言いたい.
関連HP:
http://staff.aist.go.jp/a-takada/ccopworkshop-e.html
引用
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