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「これは訓練です.地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会が臨時に召集されました」
毎年9月1日になると,早朝にこの様な連絡が電話を通して行われます.これは,東海地震を想定した総合防災訓練の一環として,産総研で行われている連絡網でのやり取りの様子です.政府が行う「防災の日」総合防災訓練では,気象庁において,観測データに異常が生じたとして,最初に「(訓練のための)地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会(構成メンバーは,地震防災対策強化地域判定会と同じ)」が臨時に招集され,その情報が連絡網を通して,産総研の関連する職員に伝えられることになっています.この後,観測データの異常が進行したとして,上記委員打合せ会が「(訓練のための)地震防災対策強化地域判定会」に切り替わります.
地震防災対策強化地域判定会.一般に「判定会」と呼ばれるこの会は,「大規模地震対策特別措置法」に基づいて,気象庁長官の諮問機関として設置された会です.6名の地震学者で構成され,東海地域における観測データに一定以上の異常値が捉えられると緊急召集されて,東海地震発生の恐れについて判定します.この判定会で異常値が「東海地震の前兆」と判定された場合は,内閣総理大臣が「警戒宣言」を発令することになっており,東海地震予知の中核をなす会として位置づけられています.
この判定会に,産総研からは,地質情報研究部門地震地下水研究グループ長が説明員として参加しています.東海地域における産総研の地下水等観測データについて説明を行うためです.産総研では,1978年頃から東海地震予知を目的とした地下水等観測を継続しており,そのデータは気象庁にほぼリアルタイムで送られ,「東海地震の前兆」を判断するためのデータの一つとして役立てられています.防災の日の訓練における産総研の役割は,気象庁に地下水等観測データの最新の解析結果をファックスで送り,(臨時)判定会委員打合せ会や判定会の場でそれを説明することです.
訓練当日,まず冒頭の連絡を気象庁から受けた小泉地震地下水研究グループ長が,産総研における連絡網をスタートさせ,同時に,説明員として気象庁に向かいました.小泉グループ長から連絡を受けた職員は,連絡網に従って電話連絡を行い,関連の職員に判定会委員打合せ会臨時召集の情報が伝わります.特に,地震地下水研究グループ員は緊急招集となり,産総研内のテレメータ室において最新の観測データの解析結果を印刷し,ファックスにて気象庁へ送信しました.気象庁に到着した小泉グループ長は,判定会にてその解析結果についての説明を行いました.その後,(想定上)東海地震が発生したことを確認し,判定会としての訓練は終了しました.
なお,このような1年に1回の訓練とは別に,原則として毎月1回,地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会が定例で行われ,地震地下水研究グループ長も参加して通常時の観測データについて情報交換を行っています.
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