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「地質情報展2007北海道―探検!熱くゆたかなぼくらの大地―」開催
下司 信夫・斎藤 眞(地質調査情報センター)


写真1 メタンガスハイドレートの燃焼実験を見る札幌市北九条小学校のみなさん.

写真2 エキジョッカーによる液状化実験にびっくり.

写真3 サテライト会場に展示した三美炭鉱産の石炭塊.

  2007年9月7〜9日,北海道札幌市の北海道大学クラーク会館にて「地質情報展2007北海道―探検!熱くゆたかなぼくらの大地―」が開催されました.今回の地質情報展は,北海道内外の地質関係機関との連携の下,札幌周辺で行われたさまざまな地質・地学系の行事を統合した“北海道Geo-Week2007”の一環として開催されました.

 地質情報展は北海道大学クラーク会館を会場として行われました.北海道内外の地質をはじめとするさまざまな地質情報を多面的に紹介する,50を超えるさまざまな展示や体験コーナーが設けられ,3日間の開催期間中に1,200名を超える方々に来場いただきました.

 今回の情報展では,北海道の地質の大きなトピックである北海道のさまざまな地下資源の紹介を中心的な展示のひとつとして取り上げました.石油資源開発(株)には,札幌市内に供給されている都市ガスのほぼ全てをまかなっている勇払油ガス田の原油資料や掘削ビットの実物などを出展していただきました.札幌の都市ガスが道内から産出している天然ガスでまかなわれていることはほとんど知られていないようで,この展示を通して,札幌市民が毎日利用しているエネルギーが足元の地質と密接に関係していることを実感していただくことができたと思います.また,産総研北海道サイトのメタンガスハイドレートラボには,メタンガスハイドレートの燃焼実験を出展していただきました.将来の有望な燃料資源のひとつと考えられているメタンガスハイドレートの実物を手に取り,また“氷”が燃える様子を目の当たりにした参加者の驚きは大きかったようです(写真1).

 また,今回の情報展では,従来からのパネル展示のほかに多くの体験型の展示を行う努力をしました.そのため,例年にも増してさまざまな体験実験が出展されました.たとえば,堆積実験ではさまざまな種類の手製の実験装置を駆使し,三角州の形成や河川の蛇行,リップルマークの形成などを実演しました.目の前でさまざまな地層や構造ができてゆく様子に,多くの参加者が釘付けになっていました.例年おなじみになった石割り体験も,子供のみならず大人にも大人気でした.また,エキジョッカーの実演も説明者の熱のこもった語りに引き込まれ,大人も子供も興味津々でした(写真2).

 さらに,今回の情報展の特徴として,道内各博物館との協力により実現した大型化石標本の展示が挙げられます.北海道博物館活動センター,沼田町化石館のご協力のもと,サッポロカイギュウや,ヌマタカイギュウ,ヤマシタヌマタネズミイルカの復元骨格標本が展示されました.全長7mに及ぶサッポロカイギュウの全身骨格を前にして,こんなに大きな生き物が地質時代の札幌に“本当に”生息していたのだと,来場した方々の驚きは大きかったようです.

 今回の地質情報展での初めての試みとして,“サテライト会場”を設置しました.サテライト会場は札幌駅西口改札前のコンコースに約8×6mの広さで展示され,地質情報展の紹介パネルや,(社)全国地質業協会連合会による地質百選のパネル展示,地質学会表彰を受けた写真家の北中康文氏による「日本の滝」写真集から選んだ滝の写真を展示しました.サテライト展示の目玉として,北海道三鉱石油(株)より提供いただいた石炭塊(写真3)を展示しました.この石炭は現在も露天掘り採掘を続けている美唄市内の三美炭鉱より産出したものです.展示された石炭をみてその思い出を懐かしく語ってくださる年配の方々がいる一方,若い方々は実物の石炭を見るのははじめてとおっしゃる方も多く,世代によって石炭に対する反応が際立って違っていることが印象的でした.人通りの多いコンコースでの展示ということもあり,通りかかった多くの方々に展示を見ていただくことができました.またサテライト会場の展示をみて地質情報展にご来場いただいた方も多く,高い宣伝効果があったと思われます.

 今回の地質情報展は,北海道立地質研究所等,北海道の地質関係各機関や自治体との密接な連携の下に計画・実施され,大きな成功をおさめることができました.このように培われた関係各機関との連携関係を今後の地質研究や一般普及活動に継続的に役立ててゆくことが重要です.また,今回の情報展では,サテライト会場の設置や地元博物館等の出展展示など,さまざまな新たな企画が試みられました.これらの経験を財産として,地質情報展をより効果的な,地域の地質情報に密着したアウトリーチ活動として展開してゆくことが今後の課題と考えられます.








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