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自著紹介:「宮澤賢治の地的世界」
加藤 碵一(産総研 理事)

 物心ついた日本人で(残念ながら)産業技術総合研究所地質調査総合センターをまだ知らない人はいても,宮澤賢治を知らないとか彼の作品に触れたことがない人はおそらくほとんどいないといえるでしょう.幅広い宮澤賢治の文学作品には数多くの鉱物岩石化石名を始めとする地質学的術語や概念が導入されており,それが1つの特徴であり魅力となっていることは既に大方の指摘されているところです.例えば空の青さ雲の白さなどの気象や心象を表現するのに鉱物・岩石・化石名の特徴をたくみに取り入れています.これらの大部分の日本語訳が定着したのは,賢治の生まれる数年〜数十年前にしか過ぎず,当時一般にはあまり普及しておらず,新鮮な語感がしていたことでしょう.さらに,賢治作品には鉱物の性質や晶出順序などの当時最新の専門的理解に基づく作品構成がなされていることもあるのは一驚です.彼が盛岡高等農林地質及び土壌教室に在籍し専門的な研鑽を積んだことが背景にあるからです.

 筆者は2006年3月までの産総研東北センター勤務の合間に宮澤賢治の足跡を訪ね,より詳細に賢治の地的世界を渉猟することができました.いわば,文学と地質学との異分野融合を果たした賢治の地的世界を共有しようとの重いから拙文を試みた次第です.

 本書の一部は,今年(2006)の5月に仙台で開催された石油技術協会総会での特別講演や,同じく8月に宮澤賢治生誕110年を記念して花巻で開催された「第3回宮沢賢治国際研究大会」で発表したもの,さらに北海道センターや東北センターでの一般公開時の講演などをまとめカラー図版を入れて大幅に改稿したものです.ぜひご一読いただきたく紹介する次第です.

申し込み先:(株)愛智出版
191-0065 東京都日野市旭が丘1-14-13
 (メールで申し込めます)

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