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当日は曇り空ながら,週の初めからの雨模様からなんとか脱したことに安堵しながら8時半に集合,総勢18名(うち主催者側5名)で出かけました.出発前に標本館前で花こう岩を観察し,バスの中で配布資料をもとに「花こう岩の模様から何が判りうるか」という話をしました.
1時間ほどで着いた花こう岩採石場では,まず(株)タカタの河野さんの案内で採石場を一巡しました.当日採石作業は休止していたので,バーナーで焼いて切断中の岩盤に刻まれた深くてなめらかな切り口をのぞき込んだり,削りかすに相当するきれいな微粒子を手に盛って,「なんで焼けこげてないんだろう?」といぶかしんだりしながら,各々自由に見て回ることが出来ました.次に,割り出した花こう岩を集積してある所に移動し,模様のある花こう岩を探しました.いくつかあるなかに,1×1×5m程の大きさのブロックで,そのすべての面に模様が出ていて,立体構造の復元が可能なものがありました.それは細長い風船を縦につなげたような形状で,見かけは全く違うけれども,標本館前の標本と本質的に同じものでした.
この後,採石場脇の(株)タカタの付属施設である「石の百年館」に寄り,稲田石に関する歴史的資料や世界の石材,県内の珍しい鉱物等を見学しました.
午後からは,城里町(しろさとまち,旧桂村)のゴルフ場に向かいました. ここの駐車場脇の切り割りに,長さ7m程の珪化木が火山礫凝灰岩中に半分埋もれた状態で横たわっています.露頭はこの1ヶ所だけですが,付近の芝生には珪化木が多数置いてあり,さわったりじっくり観察することが出来ます.これらはゴルフ場造成時にこの場所から掘り出されたとのことでした.大きなものは直径が1m以上あり,断面は丸いのからかなり扁平なものまで様々です.ルーペを用いて,年輪やその隙間でキラキラしている水晶や黄鉄鉱を観察しました.
ここではハンマーを振るうわけにいかないので,ゴルフ場入り口の珪化木を積み上げて作った門を見学した後,近くの小川に移動し,河床の凝灰岩の露頭から珪化木を採集することにしました.こちらの珪化木の大きさは1m前後から10数cmまで様々でした.小さいものも単なる破片ではなく,ちゃんとした樹幹で樹皮が取り巻いていました.心配していた雨による増水もそれほどでもなく,おのおの思い思いのところに陣取り,ハンマーとタガネを使ってそれなりのものを収穫出来たようでした.ここの珪化木は余りツヤがない真っ黒な石ですが,事前に採集し,切断して研磨したものはそこそこの光沢がありました.同一地域でも珪化木の質は様々ですから,よくさがせばこの地域からもきれいなガラス光沢のものが見つかるかも知れません.
また,この小川の上流にはジュラ紀付加帯の地層が広く分布し,かつてタングステンを採った高取鉱山も近くにあるので,河原のチャートや堆積岩の礫に混じって,鉱山からの鉱石や水晶・トパーズなどがないか探しましたが,残念ながらそれらが見つかる前に帰る時間が来てしまいました.
5時少し前には産総研に帰着し,採ってきた花こう岩や珪化木をおのおののザックに詰め込んで,薄暗くなりかけたなかを解散となりました.
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