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人類と社会をつなぐ地質時代−日本の第四紀研究50年−」地質標本館2006年度秋季特別展を開催して
兼子 尚知・水野 清秀・山口 正秋(地質情報研究部門)


写真1:展示の様子.
写真2:期間中に配布された冊子(表紙).


 2006年10月3日(火)から11月12日(日)にかけて,地質標本館2006年度秋季特別展「人類と社会の未来をつなぐ地質時代 −日本の第四紀研究50年−」が,地質標本館ホールにおいて開催されました.この特別展は,産総研における第四紀に関する最新の研究成果を,一般の方々にわかりやすく発信することを目的として企画されたものです.さらに,創立50周年を迎えた日本第四紀学会からの要望を受けて,その活動を紹介するコーナーを設けました.このような経緯で,今回の特別展は日本第四紀学会の協賛をいただくこととなり,学会のご協力を得て,地質調査総合センターではカバーしていない考古学の分野の展示も実現しました.

 今回の展示では,「第四紀学」とその研究について,地質調査総合センターが主体的に行った研究の紹介,旧石器時代の人類の移動に関する研究,そして第四紀学会の活動紹介など14のテーマのパネルを地質標本館ロビーに展開しました.また,千葉県袖ケ浦市で発掘されたカメ・シカ・ゾウなどの化石標本や,地質標本館からほど近い花室川周辺で発見されたナウマンゾウ化石や石器,第四紀学会の出版物や資料も展示しました(写真1).

 特別展の期間中,10月14日(土)には,地質標本館普及講演会を催しました.午前は石器の製作実演を,午後は二題の講演を行いました.

 展示したパネルのデータをA4版で26ページの冊子として,来館した方々や日本第四紀学会会員のみなさまに無料で配付しました(写真2).手元に置いておくことによって研究の成果概要をいつでも参照することができるため,これはたいへん好評をいただいています.この冊子は,地質調査総合センター研究資料集No.445として登録されています.パネルの画像データは,地質標本館のWebPageでも公開しています.

http://www.gsj.jp/Muse/eve_care/2006/2006yonki/yonki.html

 今回の特別展は,日本第四紀学会の協賛を得て,とくに考古学分野の展示・講演が行われたことが特筆に値します.第四紀学は,第四紀における自然と人類の歴史を探求し,自然と人類の関係を理解しながら,地球環境と人類の未来について考える学問と言えますが,地質調査総合センターではカバーしていない考古学分野との交流を得られたことは,今後の研究活動によい刺激を与えるものだと思います.地球温暖化や大地震とその影響など,近未来に起こる事象を推定するために,第四紀学の果たす役割は今後ますます重要になっていくといえるでしょう.

 最後になりましたが,この特別展の展示のために研究成果をわかりやすく解説してくださった出展者のみなさまはじめ,第四紀学会事務局のみなさま,展示に協力していただいた多くの方々にお礼申し上げます.




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