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地質調査総合センター第6回シンポジウム「地質情報の社会貢献を考える」
伊藤 忍(地質調査総合センター)


写真1:スライドの説明をする尾園修治郎氏.
写真2:大盛況のデータベース展示発表.

 2006年11月14日,秋葉原コンベンションホールにおいて,地質調査総合センター第6回シンポジウムが開催され,約100名の参加者がありました.今回のテーマは「地質情報の社会貢献を考える」です.私自身は地震学が専門で,地質学には疎く,地質調査所入所以来,払い出してもらった図幅は5枚程度しかありません.学術的な目的以外で,地質情報がどのように利用されているか,ほとんど知りませんし,気にすることさえもありませんでした.

 そんな私にとって,全国地質調査業協会連合会の佐橋義仁氏の講演「コスト構造改革下での地質調査の役割―全地連『地質リスクWG』の活動報告―」は,とても理解しやすく印象深いものでした.従来の工事のための地質調査では,楽観的リスク,すなわちリスクがないという状態が出発点でした.リスクが明らかになりつつある段階で地質調査をすすめ,結果的に工期が延びること,コストが増大することを意味していました.佐橋氏の提案は,構想段階で悲観的リスク,すなわちあらゆる角度からリスクを体系的に抽出しておいて,地質調査に投入する金額とリスク低減額とを比較しつつ工事をすすめるというものです.この提案は,リスクやその低減の金額への換算(計量化)などを行う必要がありますが,なかなか簡単ではないと思われます.全地連では,そのためのデータ収集を行っており,協力を呼びかけていました.

 (株)建設技術研究所の尾園修治郎氏の講演「建設コンサルタントの地質情報活用」も興味深いものでした(写真1).トンネル掘削前に予想されていた地質断面図をもとに工期や経費を見積もったものの,実際に掘削してみたところ,予想とは大きく異なって破砕帯が非常に多く,結果的に赤字になってしまった例が示されていました.なぜ予想されていた断面図が大きく間違っていたのか,門外漢の私にはよくわかりませんが,地質情報の重要性について大変よく理解できました.

 データベースの展示発表の時間は,事務局としての仕事に忙殺され,あまりよく見ることができませんでしたが,会場が大変盛況であったのは大変うれしく思いました(写真2).






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