GSJニュースレター NO.24 2006/9 |
第3回CCOP火山災害軽減のための野外ワークショップ 高田 亮(地質調査情報センター)・浦井 稔・下司 信夫・鬼沢 真也(地質情報研究部門) 8月30日には,インドネシア地質局長とCVGHM所長の挨拶から始まる厳粛な式典が行われ,本ワークショップの重要度が認識された.メラピ火山が活動中のジョグジャカルタの支所からも幹部が出席した.30日と31日午前の発表会では,CVGHMから,メラピ火山における2006年噴火の活動報告と初期における警報伝達の有用性について,カランゲタン火山における2006年噴火活動と地球物理観測,ハザードアセスメントの発表があった.また,イジェン火口周辺の地下水汚染の地球化学観測とバンドン北方のスンダカルデラ形成に伴うプリニアン噴火についての報告があった.フィリピン地震火山研究所から,カントリーレポートとマヨン火山の2006年の最新の火山活動が報告された.地質調査総合センターからは,鬼沢真也が,有珠火山2000年噴火の例をもとに,地下構造がマグマの動きに及ぼす影響を,下司信夫が,カルデラ形成を伴う三宅島2000年の噴火活動を,浦井 稔が,ASTERによる熱観測例とALOSによる観測概要を報告した.電力中央研究所から,土志田潔氏が火口の移動の意義を発表した.アジア航測がインドネシアの赤色マップをポスターで発表した.最後に,アジア諸国への貢献について,CCOP事務局と議論した. 野外巡検は8月31日午後〜9月3日に行われた.8月31日午後は,有史に山体崩壊をおこしているパパンダヤン火山を訪れ,2004年噴火の火口と堆積物を見学した.火山ガス採取のデモが行われた.夕方,近年,地震が急増し緊張が高まったグントール火山の観測所を訪問し,観測体制と最近の状況の説明を受け,夜8時まで議論した.9月2日は,1883年にカルデラ形成を伴う大噴火をし,発生した津波により,3万6000人の犠牲が出た,クラカタウ火山を訪れた.今回のメインイベントである.カルデラ形成後,現在活動中のアナクラカタウ火山にボートで上陸し,山頂火口で最近の火山活動を議論した(写真1).午後には,クラカタウの外輪であるラカタ火山に残るカルデラ壁で,成層火山の断面を観察した.9月3日には,ジャワ西海岸沿いで津波の痕跡として残る,崩壊した煉瓦でできていた灯台跡を見学した(写真2).この遺跡を説明した立看板がないのは残念であった.ジャワとスマトラで,最大で35mの高さの津波が来たと言われている. 第3回は,セレモニーを大事にするインドネシアらしい会議の進行であった.要旨集と巡検ガイドブックが当日準備されていた.巡検出発前には,発表のパワーポイントファイルと写真がコピーされたCD-ROMと,本ワークショップのオリジナルTシャツが,参加者に配布された.今回は,CCOP事務局が参加し,会計などが円滑に進んだ.来年の第4回は,フィリピンで開催する予定である.これまでの本ワークショップの成果のとりまとめも行う予定である. 関連HP:http://staff.aist.go.jp/a-takada/ccopworkshop-e.html 引用 1)GSJ Newsletter.No.4, 2005/1, 9-10 |
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