GSJニュースレター NO.23 2006/8

日本第四紀学会2006年創立50周年記念大会参加報告

植木 岳雪 (地質情報研究部門)


写真:会場の様子.

 日本第四紀学会2006年創立50周年記念大会が,2006年8月4日〜6日に東京都八王子市の首都大学東京南大沢キャンパスにおいて開催されました.今回は50周年記念大会ということで口頭発表はなく,シンポジウムとポスター発表のみでした.シンポジウム全体のテーマは「人類の環境を第四紀学から考える―過去からみた現在と未来―」であり,8月4日には,「最終間氷期から完新世への急激な環境変動と人類」,5日には「鮮新・更新世の日本列島」,6日には「過去の間氷期の研究から今後の地球環境に変遷を考える」,「環境問題・自然災害を第四紀学から考える」という4つのシンポジウムが開かれました.また,5日には,東京都立大学名誉教授町田 洋会長の記念講演が行われ,7〜8日には「南関東の第四紀主要サイトをめぐる」というテーマの巡検が行われました.

 筆者は,4日から5日の2つのシンポジウムとポスター発表に参加しましたが,その際に感じたことを以下に述べます.まず,通常の大会に比べて,今回の大会のシンポジウム聴講者がほぼ倍の250名以上であったことに驚きました.最近の大会では,地質,地形の発表が多いのですが,今回は総括的な内容のシンポジウムが行われたために,考古や古生物を専門とする参加者も多いようでした.これは,日本の第四紀学会が地質学,地理学,古生物学,動物学,植物学,土壌学,人類学,考古学,地球物理学,地球化学,工学の11の分野からなる学際的な学会であることを考えると,大変好ましいことだと思います.次に ,ポスター発表が66件もあったことに驚きました.これは,通常の大会の口頭とポスターの合計発表数とほぼ同じです.また,会長講演では,現在の第四紀学会の問題と今後の第四紀研究の課題が示されました.特に,20年前の創立30周年記念大会で提示された課題が,ほとんど残っていることに驚き,今後我々が高い意識をもって解決していかなければならないと思いました.

第四紀学会は,過去を調べることによって未来を予測する学問です.現在,最も必要とされる分野ですが,必ずしも日本第四紀学会の認知度が高いわけではありません.来年の12月には,産総研で国際シンポジウムが行われる予定です.皆様方のご参加をお待ちしています.

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