GSJニュースレター NO.20 2006/5 |
GUPI GEOFORUM「国土と地質と観光と」参加報告 渡辺 真人 (地質調査情報センター) 2006年4月7日にGUPI(地質情報整備・活用機構)主催の GUPI GEOFORUM「国土と地質と観光と」が開かれました.この講演会は日本地質学会を中心として活動しているジオパーク設立運動を盛り上げよう,という趣旨で行われました.(ジオパークについては http://www.gupi.jp/geopark/geopark01.html に詳しい紹介があります). 最初に岩井國臣参議院議員が「国土と地質と観光と」と題して基調講演を行いました.岩井議員は,今後の日本の社会の発展のためには「地域力」が重要であり,そのためには地域の特性を活かした観光の振興が重要である,と説きました.地域の,地質を含めた自然を活かしたジオパーク,エコパークを通じて,自然に対する感性を磨く観光を作り上げることが重要である,と話は締めくくられました. 次の環境省黒田大三朗審議官の講演では,まず国立公園の現状と世界遺産の枠組み・審査基準について紹介されました.国立・国定公園内の地質に関して,どんな貴重なものがあるかデータベース化し評価してほしい,と地質関係者に対して要望がありました.国民のニーズの分析に基づくストーリー作りと,普及のためのツール・プログラム作りがジオパーク普及のために重要であるとの提言がありました. 土木研究所平野 勇地質監は,ダム建設の際に,地質・自然と歴史文化の連携による,地質をテーマとする地域整備計画を立案された経験を紹介しました.その経験に基づき,ジオパークには自然と人間との関わりに関するメッセージが必要であり,それに基づくシナリオと演出が必要であるとの提言がなされました. 産総研加藤碵一理事は産総研地質分野の地質情報整備に関して報告し,この普及と有効活用のためにジオパークが有効であると述べ,ジオパーク制度の概要と諸外国の実例を紹介し,日本では火山地域が有望なジオパーク候補であると述べました. 国土交通省柴田耕介審議官は,まず同省の「ようこそジャパン」キャンペーンの映画を上映しました.外国から日本に来る観光客を増やすためにも多様な観光の振興が重要であり,地質観光スポットを発掘し,地質観光の組織化と振興を是非考えてほしい,とコメントがありました. 今回の講演会はジオパーク設立運動に対して前向きで示唆に富む内容でした.地質調査情報センターも日本地質学会を中心とする関連学協会と協力してジオパーク活動を支援していきます. |
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