GSJニュースレター NO.18 2006/3

地質調査総合センター代表がCCOP管理理事会議長に就任
村尾 智(地質調査情報センター)

CCOP管理理事会議長に就任した佃 栄吉地質調査総合センター代表.



 産総研地質調査総合センターはバンコクにあるCCOPという国際機関と緊密な協力関係を持っています.CCOPは日本語名称を「東・東南アジア地球科学計画調整委員会」といい,その名前が示す通り,地球科学を中心とした業務やプロジェクトの企画,立案,調整,支援を行い,アジアにおける他国間,二国間の協力関係を推進しています.現在,アジアの11カ国が協定を結んで分担金を拠出することで基本的な運営を行うとともに,外部資金を導入することで各種プロジェクトを実行しています.

 CCOPには管理理事会という組織の運営について審議する場がありますが,2005年9月に北京で開催された第46回管理理事会で,日本が次期議長国として推薦されました.産総研はアジアにおける地球科学の研究及び成果の普及を重要なミッションと考えています.そこで議長国就任を受諾し,議長人選について外務省と協議を行いました.その結果,佃 栄吉地質調査総合センター代表が議長に就任することとなりました.任期は2006年1月1日から2年間です.議長を務める最初の会合は2006年3月29日〜31日にタイのクラビで開催される第47回管理理事会となります.

 さて,議長国は単なる議事進行役ではなく,CCOPのあるべき姿を理念として示し,参加国を牽引する重要なポジションです.佃代表は各国にあてた議長就任挨拶の中で,「持続可能な発展」のみならず,「人間の安全保障」を念頭において活動することを宣言し,CCOPは地球科学の専門性を維持しながらも,人間や地域社会を考察に加えるべきという考えを示しました.

 上記のような理念を示すことに加えて,議長国には,加盟国の相互関係を把握した現実的な運営を行うことも期待されます.好調な発展を続けるアジアでは,各国の協力関係が変化しつつあります.地球科学の分野でも中国や韓国の国際援助が増えつつあり,もはやわが国のみがドナーという状況ではありません.今後,このような情勢の中でわが国がどのように貢献できるのか,慎重に見極めるとともに,必要な場面では明確な意思を示すことが求められます.

 さまざまな価値観を持つ国々が集まるCCOPに対して,普遍性のある理念を掲げるとともに各国が受け入れられる現実的提案を行うことは容易ではありません.地質調査総合センターでは,議長職関連業務を複数の職員でフォローする体制を作るなど,対応をすでに始めておりますが,今後も引き続き,できうる限りの支援を行っていく予定です.



  
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