GSJニュースレター NO.17 2006/2

地質調査総合センター新作地質図幅発表会
地質図幅 ちしつずふく  - 人の暮らしと自然を結ぶ基本情報 -」
斎藤 眞 ・ 川辺 禎久 (地質情報研究部門)


地質図幅発表会の様子.

 地質調査所時代の1994年から2001年まで,新作の地質図幅を紹介する展示会を主に地質調査所(現第7事業所)ロビーで行ってきました.しかし,産総研になってから出版された地質図幅については,これまで一堂に会して紹介する場を持ってきませんでした.その後,地質コンサルタント業界の方々と話をするうち,1つ出ただけでも出版記念会を行ってもいいくらい,とのお言葉をいただき,それならと地質調査総合センター第3回シンポジウム「付加体と土木地質−地質図の有効性と限界−」(2005年11月29日,秋葉原)の際に,ポスターセッション形式での新作の(産総研第1期に出た)地質図類の発表会を行いました.ただ,その際の来場者は,地質図類のことをよく知っている地質コンサルタント業界の方が主で,内容まで細かく立ち入ることが出来るかは別にして,地質の専門家でした.振り返ってみて,「地質の調査」は,経済産業省第4条二十六,産総研法第11条の二に規定されながら,産総研内では内容はあまり知られていなさそうです.地質標本館はよく知られているようですが,「地質図幅」は予算の紙の上で聞いたことがあるくらいでしょう.まだまだ「ちしつずはば」と読む人が多数です.

 このため,産総研内部に(当然そこを通る外部の人にも),「地質図幅とは何か」をアピールできるよう,去年11月に秋葉原で展示した地質図類のうち,「地質図幅」にテーマを絞って,平成18年1月20日(金)〜27日(金)の日程で,産総研つくば本部・情報技術共同研究棟1階ロビーで,標記の展示・発表会を行いました.この場所を選んだのは,内部的にも,外部的(例えば訪れたマスコミ関係者)にも,産総研の中で最も人通りの多いところと判断したからです.また,5万分の1と20万分の1の各地質図幅計38枚を貼れるスペースは,これまで使用していた第7事業所ロビー,地質標本館ロビーにもなく,そこしかありませんでした.地質図幅以外の地質図類は,スペースや手持ちのボードの数等も勘案して,また,テーマを絞ったほうがイメージに残ると考え,次の機会にすることにしました.

 当初は,展示してアピールすることを目的にしましたので,それ以外の対応はとっていませんでしたが,広報業務室の目にとまり,産総研HPへの掲載,記事売り込み等のご協力をいただきました.また,説明員が立つべきだとの指摘を各所からいただき,26日昼と27日昼 ・夕は,地質情報研究部門長を初めとして人を出して対応しました.

 会場では,企画本部を初めとして,産学官,知的財産などの,各部門の方がおいでになり,担当者から具体的に話を聞いていただけました.また27日昼過ぎには吉川理事長もお見えになりました.「百聞は一見に如かず」の言葉どおり,内部的には,充分な成果が上がったものと考えられます.外部的には,広報に向かうマスコミが見ていきましたが,結果にはなりませんでした.

 今回,初めてこのようなデモンストレーションをするので,成功させるのが重要と考え,著者などの関係者には極力負担をかけないという方針で行いました.このため,「わかりやすい展示物」という点では,改善の余地がありました.手間をかければ,もっと効果的に出来るのは間違いありません.また,情報技術共同研究棟1階ロビーについては,会議室の入り口,人通りを確保すれば,場所の使用の許可は下ります(第2事業所業務室).今回のわれわれの発表を見て,ポスターボードも新たに購入される可能性があると聞きます.内部アピールの点や,第7事業所ロビーや標本館より柱のないスペースが広く取れることから,内容と目的から地質標本館との棲み分け戦略を考えた上で,どんどん使っていくといいと思います.

 われわれには,産総研の他の分野と違って,地質標本館や地質情報展で育んできた展示技術があります.この技術を使って,記者発表に連動した大量のないし大きな図面の展示などに使えると思います.シームレス地質図を床に貼るというのもおもしろそうです.


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