GSJニュースレター NO.17 2006/2 |
南太平洋諸国の骨材資源に関するワークショップ参加報告 -南太平洋諸国の骨材資源探査と日本の役割- 池原 研 (地質情報研究部門)
会議では各国の骨材採取・利用状況の報告の後,骨材の起源,探査・採取方法,環境問題の講演と,調査船での実習や骨材採取地点の見学(写真1)などが行われました.各国では,ほとんどの砂を河川あるいは海岸から採取していて,環境問題が懸念され始めているようです.サンゴ礁の島からなる国がほとんどですから,鉱物性の砂は非常に限られていて,多くはサンゴや低生有孔虫などの石灰質生物遺骸や火山噴出物からなります.海抜数mまでしかない環礁の島では石灰質の砂ですら,海岸浸食を抑えながら確保することは大問題で,環礁の外側や礁湖の中など候補となる場所を探そうとしています.一方で,資源としての砂の評価方法や品質,コンクリートの強度への影響など,骨材資源探査に必要な知識は不足しています.その意味で,有田氏による7項目に渡る講演は参加者に有用であったと思います.また,スバ近郊の海岸砂を使ったスキャナーによる砂粒子観察法の実習(写真2)も好評でした. 今後のSOPAC諸国の骨材資源探査では二つ重要なことがあると思います.第一に,骨材資源としての砂の評価に関する知識の普及の必要性です。第二に,各国の状況に応じた対策作りの重要性です.どのような構造物のためにどういう砂がどれだけ必要かをその国の資源賦存状況や経済状況と合わせて検討し,より適切で効果的な骨材資源開発・確保の方策の立案が必要です.そのために日本ができることは,まず各国の関係者と十分に話をし,誠実に対応していくことでしょう.雨季ながら強い陽射しで日焼けして痛む肌をさすりながら,そのようなことを考えさせられた会議でした. |
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