GSJニュースレター NO.17 2006/2 |
2005年パキスタン地震国際会議および現地予察調査報告 -地震災害軽減に向けての大きな足がかりとなるか?- 金田 平太郎(活断層研究センター)
会議は,パリ地球物理学研究所 Paul Tapponnier 博士による基調講演を含む開会セッションのあと,「アクティブテクトニクス」,「地震と古地震学」,「地震工学」,「地すべり」および「リモートセンシング」の5つのテクニカルセッションが順番に開催される形で行われた.このうち,「アクティブテクトニクス」のセッションでは,1991年にパキスタンの活断層図を刊行している中田氏が,同国の活断層および今回の地震で活動したと見られる活断層について,講演を行った.また,「地震学と古地震学」のセッションでは,佃氏がGSJの地震研究に対する取り組みについて,粟田氏が兵庫県南部地震の前後における日本の活断層研究の進展についてそれぞれ講演を行い,「リモートセンシング」のセッションにおいては,浦井氏が,ASTER衛生画像から今回の地震の地すべりと地殻変動を検出する技術と結果につて講演した.今回の会議で特筆すべきは日本人講演者の多さであり,およそ30の全講演の実に4割以上が日本の大学・研究機関の研究者によるものであった. 今回の会議では,多岐にわたる分野を2日間という短い期間で網羅したため,やや焦点がぼやけてしまった感もあるが,各国の研究者から今回の地震や類似する他の地震についての多くの提案がなされ,今回の地震を契機に地震対策・研究を充実させようとするパキスタンにとっての採取の大きな足がかりとなったものと思われる.もちろん,本当の道のりはこれからであり,今回多くの講演を行った日本あるいはGSJとしても,関連分野でひきつづき技術協力・支援を行ってことが望まれる. 会議のあと,産総研活断層研究センター・広島工業大学・京都大学・オレゴン州立大学の調査チームは,パキスタン地質調査所と共同で計8日間の現地調査を実施し,これまではっきりした報告のなかった地震断層を確認,その全容を明らかにした(2006年2月3日プレス発表).地震断層は既存の活断層に忠実に沿う形で出現しており,全長約65km,上下変位は最大で約5.5mに達する.活断層研究センターでは,広島工業大学・京都大学とともに3月にふたたび調査チームを派遣し,パキスタン地質調査所と共同で詳細な地震断層のマッピングを実施する予定である. |
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