GSJニュースレター NO.14 2005/11 |
佐藤 努 (地質調査情報センター) 2005年10月21日(金)に千葉市美浜区の千葉県環境研究センター会議室にて,「自治体-産総研地質地盤情報連絡会」(第1回)が開催されました.この連絡会は,昨年度に3回実施された「地質・地盤情報の利活用に関する首都圏自治体と産総研の意見交換会」を引き継ぐもので,この会において両者の意見・情報交換の必要性が理解されたことを受けて今年度新たに発足したものです.第1回の会議の様子を,以下に報告します. 第1回の参加者は,自治体側から20名,産総研から15名で,合計35名でした. まず,会場をご提供していただいた千葉県環境研究センター次長の原 雄氏から,ご挨拶いただきました.続いて産総研・産学官連携コーディネータ古宇田亮一氏から,当連絡会の趣旨説明がありました. 引き続き話題提供となり,前半が産総研,後半が自治体で連絡会は進められました. まずは,今回の話題提供の目玉の一つとして,地質情報研究部門・ 今井 登氏から日本の地質化学図についての講演がありました.地球化学図とは,いろいろな元素がどの程度の濃度で我々の回りの大地に分布しているかをしめしたものです.今回は,川の細粒砂の化学分析に基づいて作成された10kmメッシュの二本全土の地球化学図(2005年度の環境賞の優良賞受賞)を主に説明しました. 次に地圏資源環境研究部門・丸井敦尚氏から地下水利用協議会の活動と地下水研究について,また地質情報研究部門・木村克己氏から公開地盤情報データベースの動向と今後の課題について話題提供がありました.丸井氏からは,連携して地下水研究を行う際のアドバイスが,木村氏からは,地盤情報データベースの公開に関する動向とその問題点やそれにむけての産総研の取り組みなどが紹介されました. 自治体からは,5つの話題提供がありました. まず,北海道地質研究所地域地質部・大津 直氏より,開発中の2つのデータベース(地下水温泉地盤ボーリングDBと北海道自然災害履歴DB)についての現状と課題について説明がありました.地下水や地熱井のデータは充実しているが,地ボーリングのデータ収集が遅れている点などについて,議論が交わされました.続いて,東京都土木技術研究所地象部・石村賢二氏より,地盤情報システムの現状と課題について話題提供がありました.地盤情報の著作権や所有権などについて,層相区分には著作権は発生しないが地層区分には発生するなど,参考になる説明がありました.また地盤情報の公開に関して,優良販売などの問題や,個人の傍系情報などについての紹介がありました.休憩前の最後には,埼玉県環境科学国際センター地質地盤・騒音グループ・八戸昭一氏から,水道用水源井戸に関する情報についての話題提供がありました.2004年6月の国民保護法の交付に伴う情報管理体制の変化についての説明があり,各自治体に共通する問題であることから活発な議論が行われました. 休憩後は,まず,神奈川県温泉地学研究所研究部・宮下雄次氏により土壌・地下水汚染問題への対応と今後の課題について話題提供があり,各自治体への対応と今後の課題について話題提供があり,3次元的な地質データベースについて要望がなされました.続いて,千葉県環境研究センター水質地質部・佐藤賢司氏から千葉県地質環境インフォメーションバンクの紹介があり,同バンクの利用状況について,千葉県環境生活部水質保全課・香川 淳氏より説明がありました.2003年度終わりからの集計によると,アクセスは7万件,ダウンロードは約14万件になるそうです. すべての話題提供の終了後,千葉県環境研究センターの見学を行いました.内容は,話題提供で紹介があった千葉県地質環境インフォメーションバンクと,地下水流動モデル実験や液状化実験についてです.どれも興味深い内容で,現場にて多くに質問や議論が交わされました. 見学終了後,再び会議室にて総合討論がおこなわれました.地質化学図に関しては,土壌汚染調査への貢献などについての議論が,地下水研究における連携については,密に意見交換を行うことや主張することの重要性が議論されました.地質地盤情報についてはデータ公開と個人情報保護法との関係や,地震防災への応用について議論が行われました. 最後に,地質調査情報センター・下川浩一氏より次回の連絡会のお知らせがあり,同副センター長・村上 裕氏より閉会の挨拶が行われました. 連絡会の終了後には懇親会が開催され,27名の方が参加されて,さらに活発な議論で盛り上がりました. 次回,第2回自治体-産総研地質地盤情報連絡会あは,1月19日(木)に秋葉原ダイビルにおいて開催される予定です(会場では1月20日(金)とアナウンスしましたが,変更になりました).
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