GSJニュースレター NO.12 2005/9

タイ王国鉱物資源局一行訪日
渡辺 真人(地質調査情報センター)



DMR一行と,佃 GSJ代表,大久保 地質調査企画室長,渡辺 国際連携主幹.
 地質調査総合センターを窓口として,タイ王国鉱物資源局(DMR)副局長一行4人が,9月5日〜9日に産総研など津波・地震関連省庁・研究機関・地方自治体を訪問されました.

 DMRは,タイ王国の地下資源や防災に関わる業務・研究を幅広く行っています.スマトラ沖地震とそれに引き続いた津波をきっかけとして,タイ王国でも地震・津波にたいする観測研究体制,防災体制を国として強化しようとしています.しかし,この業務を遂行するのに必要な技術,人材がタイ王国には不足しています.DMRでは,日本の関係省庁・研究機関において,DMRの職員が必要な技術を身にるけるトレーニングを受けるための協力体制を期待しています.

 今回,DMR一行の訪問目的は,最初の一歩として,日本の関係省庁・研究機関がどのような体制でどのような観測や研究を行っているか,また,地方自治体では,どのような地震・津波対策がとられ,国の関係省庁・研究機関からどのような情報がどのように利用されているか,などについて情報収集することでした.DMRでは,今回訪問した各省庁・地方自治体・研究機関とは今後も情報交換を続け,DMRの地震・津波に対する人材育成,観測・研究体制の強化につなげたいと考えています.

 地質調査総合センターでDMR一行は,まず活断層研究センター海溝型地震履歴研究チームのスマトラ沖の津波および日本の古津波堆積物に関する研究と北海道の津波災害予測図についての紹介を受けました.タイで古津波研究が可能な場所はどこか,などについて活発な議論がありました.次に,地質情報研究部門地震地下水研究グループの地下観測・研究を見学し,東海地震の観測体制に関して多くの質疑応答がありました.また,同部門沿都市地質研究グループで,津波災害予測に不可欠な沿岸域の浅層地質・地形の研究紹介を受けました.ここでは,実際の調査・探査に必要な機器とそれにより採集されたコア,探査断面などを前に活発な議論が行われました.さらに一行は,沿岸都市研究グループとのタイのインド洋沿岸の津波災害予測図作成に関する共同研究,地圏資源環境研究部門鉱物資源グループとのタイのレアメタルポテンシャルに関する共同研究に関してそれぞれ打合せをおこないました.

 DMR一行はそのほか国土地理院地殻変動研究室,土木研究所ユネスコセンター準備室,東京都防災センター,横浜市危機管理対策室,海上保安庁海洋情報部,気象庁地震火山部を見学しました.

 今回のDMR一行の訪日に関しては地質ニュースに詳しく報告する予定です.

 

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