GSJニュースレター NO.11 2005/8

国際地質調査所会議参加報告
全ロシア地質研究所にて,平成17年6月13日〜16日
佃 栄吉(地質調査総合センター代表)

写真1 全ロシア地質研究所(VSEGEI)内の大会議場で開かれた会議の様子.アジアからの,日本,中国,韓国,インド,モンゴルを含め,23カ国の参加があった.
写真2 白と青を基調としたVSEGEIの内装.
1914年に建物が完成したときにはニコライ
二世国王がお祝いに駆けつけたという.
写真3 ロシア鉱物資源開発の殿堂,
1773年設立のペテルスブルグ鉱山大学.
 平成17年6月13日から16日にかけて,サンクトペテルブルク市(ロシア)において,国際地質調査所会議が開催され,筆者が参加したのでその概要を報告する.この会議はロシアの地質調査代表機関である「全ロシア地質調査所(VSEGEI)」において開催された.この会議については,本年4月25日に,同所長のペトロフ(O.V.Petrov)氏がレドフスキフ(A.A.Ledovskikh)連邦地下天然資源庁(局)長官を伴って地質調査総合センターを訪問して直接強い要請をうけたこと,従来,ロシアとは組織的な関係が希薄であったこともあり,将来的な連携の可能性を探ることも視野に入れて参加することとなった.

 主催者側から示された今回の会 議の主な目的はCIS及びその他の諸国が,現在進行中の中央アジア及び周辺地域の地質アトラスなどに関する国際プロジェクトの組みの基で,協力の内容の再確認と技術的問題解決の方策を検討することであった.参加した各国は,カザフスタン,ウクライナ,ベラルーシ,ラトビア,グルジア,アルメニア,キルギス,タジキスタン,アゼルバイジャン,ウズベキスタン,チェコ,ドイツ,カナダ,アメリカ,フィンランド,ノルウェイ,スウェーデン,中国,モンゴル,日本,韓国,インドで,開催国のロシアを含めて23ヶ国であった.日本からは佃に加えて石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の大塚理事が招待参加されていた.会議では各国がそれぞれ現在進行中の国際プロジェクトや研究動向について報告し,佃からは地質調査総合センターの研究戦略概要とアジアを中心とする国際共同研究について発表した(写真1).これらの報告を受け,様々な国々の組み合わせによる複数の協力プロジェクトについて合意し,議事録をとりまとめた.協力プロジェクトの内,日本が協力するとしたものは,すでにCGMWプロジェクトとして進めている500万分の1スケールのアジア地質図計画(IGMA5000)の確認であった.ロシア側が特に力を入れていたものは,CIS諸国のエネルギー・資源を強く意識した連携の強化と北極海及びその周辺の地質情報とりまとめへのイニシアティブの発揮であった.後者については,北欧諸国,カナダ,アメリカとの連携であり,簡単ではない協力案件と考えられ,国連のIPY(International Poloar Year 2007-2008 )と連携した活動に位置づけながら慎重に進められることになろう.今回の会議に対して,カナダはIrwin Itzkovitch 地球科学担当副大臣とJ.Murray Duke カナダ地質調査所長が参加し,同時に開催されたInternational Economic forumでの鉱業法の改正にかかわる会議に参加した人も加えると総勢20人を上回る大代表団を送り込んでおり,非常に積極的な姿勢が印象的であった.

 VSEGEIはGSJと同じく1882年に設立され,現在の研究所が創建された1914年にはニコライ二世国王が訪れ盛大なセレモニーが行われたそうだ(写真2).現在,建物は6年計画での改修中,正面の道路も工事中であり,出入りは研究所の裏の研究所が所有経営しているホテルの玄関を使用した.一般にも開放されており,WSEGEIで仕事をするときには便利であろう.改修は後1年で終了する余のことだった.

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