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第1図 産総研の近畿〜東海における地下水総合観測点(○)と2004年9月5日の紀伊半島沖の地震(★1)と東海道沖地震(★2)の震央
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地震地下水研究グループは,国の東海地震予知事業等における地下水観測・研究分野を担当し,近畿〜東海地域等に展開する産総研の地下水総合観測網(約40観測点,図1)から得られる情報を関係機関に提供する社会的責任を負っている(http://gxwell.aist.go.jp/にてデータ公開).
9月5日夜に茨城県の自宅近辺で標記の地震の揺れを感じた私は,NHKニュースおよびインターネットの地震情報から,この地震と東南海地震や東海地震との関連が議論されるのは必至と考えた.したがって,6日または7日に臨時の地震調査委員会(注1)が開かれるはずだと判断し,電子メールにて,上記観測網の観測結果に基づく資料作成をグループ員に指示した.翌日(6日)の午前は,(予想通り)13時から開かれることとなった臨時地震調査委員会のための資料(6日までの7観測点分のデータ)を作成し,13時すぎにファックスで送付した.さらに7日には,より詳細な資料(7日までの37観測点分)を作成し,8日の定例の地震調査委員会に提出した.また,マスコミに対する取材にも適宜応じて情報を提供している.今後も,臨時地震予知連絡会(注2)等が開催されることになっており,そちらにも最新の観測データに基づく資料を提出する予定である.
今回の観測結果では,地震前に特に異常な変化は認められていないが,地震時から地震後については興味深い結果がいくつか得られている(図2).標記地震発生後は,常にもまして多忙な状況が続いているが,上記の社会的責任を考慮して,我々は誠実に研究業務を行っているところである.
注:地震調査委員会:地震活動を評価する政府の公的機関
地震予知連絡会:国土地理院長の諮問機関. 地震予知研究を行っている主な公的機関が集まって地震予知研究に関する情報・意見を交換するところ.
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第2図 本宮観測点の地下水位変化
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