GCに合わせて開催されてきた世界地質調査所会議(International Consortium of Geological Surveys)が第4回目として8月26日に1日かけて開かれた.
午前はホスト国イタリアの代表地質調査機関であるAgency for the protection of the environment and for technical services (APAT)の代表のG.Cesari氏からの歓迎の挨拶から始まり,各地域の報告が,ヨーロッパ,北米,中・南米,アジア,オセアニア,アフリカの順に行われた.フランス地質調査所(BRGM)のJ.Varet戦略企画部長の報告は,1970年代から進められてきた連携の歴史を元に,かなり綿密なヨーロッパ各国の分析が示され,非常に大きな注目を集めた.アジアの報告はCCOPの議長でもあるタイの鉱物資源省(Department of Mineral Resources)のSomsak Potisat氏が行ったが,内容がAPEC諸国10カ国だけで,中央アジアや日本・韓国等東アジア諸国の分析的報告はされなかった.午前の発表の後,ICOGSの事務局会議が開かれ,議長を務めたドイツ連邦地質調査所(BGR)のFred Wellmer所長から,今後の活動についてのWorking Group 設立の提案がなされ,各地域からの委員が選任された.アジアの委員としてはタイのPotisat氏(前出)が指名され,承認された.
午後は各国が意欲的に取り組んでいるテーマ地質図の紹介が主として行われた.その中で,中国地質調査所(CGS)のZhang Hontao副所長は中国地質調査所の全般的な地質図作成計画を報告したあと,2005年には職員を現在の15000人から,倍の30000人に拡大する計画を発表し,注目を集めた.また,英国地質調査所(BGS)地質情報部長のIan Jackson氏は今年3月に所有するデジタル地質情報を多くのイラストを用いてわかりやすい内容とした普及書(Britain Beneath Our Feet)について,生き生きとした語り口でその作成経緯を報告した.BGSをはじめ多くのヨーロッパの地質調査所が悩み抜いて到達した社会に役立つ情報提供について,その一端を見ることができた.ICOGSは各国の地質調査所がそれぞれ特徴的な社会的要請の変化に対応しながら,変革を目指して進めているそれぞれの戦略を通覧できる非常によい機会である.
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