GSJニュースレター No.1  2004.10
世界地質図委員会    脇田 浩二 (地質情報研究部門)

米国地質調査所の展示ブース(撮影:古宇田亮一)

中国地質調査所の展示ブース(撮影:古宇田亮一)

郊外にある公園からフィレンツェの町並みをみる(撮影:下川浩一)

 世界地質図委員会(Committee of Geological Map of the World)はボローニャで開かれた第2回IGCの際に設立された歴史のある国際的機関で,現在はIGC,IUGSを構成する一つの会議として位置づけられている.パリに事務局があり,フランスの法律の下,NGOとしてUNESCOから認定され,世界各国の地質調査機関から構成されている.今回のIGCにおいて, CGMWの評議委員会(8月21日)と公開会議(8月22日及び23日)が開催されたので,その内容について報告する.産総研からは佃,脇田,名和が参加した.

 まず,開会の宣言のあと,各委員が紹介された.特に新しい委員として災害図セクション代表である佃栄吉氏(GSJ代表)が紹介され拍手で迎えられた.この後,本会議を構成するContinental sub-commission及びThematic sub-commissionのそれぞれの経過報告,今後の方針等の発表が行われた.特に著しい進展のあった欧州48ヶ国をカバーした全欧州地質図(IGME)については,コンセプト(数値地質図),問題点,今後の予定等が詳しく解説された.また,アジアの構造図については,地質調査総合センター(産総研)で対応することになった.

 次にいくつかの新しいプロジェクトが提案された.全アジア地質図(IGMA)については中国(中国地質科学院地質研究所)のRen Jishun 氏(中国科学院院士)が紹介した.この地質図プロジェクトでは6つのブロックに分けて,東南アジアの地質図は地質調査総合センター(産総研)が担当することになる.プロジェクト期間や責任体制,参加機関や国の偏り,予算の確保等について厳しい質疑が行われた.同じアジアにおいてGeodynamic Mapの提案がManuel Pubellier 氏から提案があった.また,アルゼンチン地質調査所のE.Zappettini氏から,南アメリカの自然災害図の計画も紹介された.このプロジェクトについては,災害図セクション代表の佃氏と相談して進めるように,勧告された.

 最後にドイツ連邦地質調査所(BGR)のKristine Asche氏から,地質図標準委員会(Digital Map Standard Working Group: DIMAS)の報告が行われた.この委員会では,世界地質図委員会出版の地図類の標準化が検討されており,凡例やデータフォーマット,用語等の基準作りが示された.

次回のCGMW許諾委員会は2006年にパリでの開催が予定されている.

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GSJニュースレター No.1 2004.10
(独)産業技術総合研究所地質調査総合センター
GeologicalSurvey of Japan,AIST