御倉山(おぐらやま)溶岩ドームは, 十和田湖の御倉半島突端部を構成するデイサイト質の溶岩ドームであり, 約7.5千年前の「噴火エピソードD'」で形成されたと考えられている (工藤,2010).
十和田火山は,約16千年前以降の後カルデラ期に, 数百年〜数千年以下の間隔でVEI4〜5の比較的規模の大きな噴火を繰り返してきた. 最新の活動は,西暦915年に発生した「噴火エピソードA」である (Hayakawa, 1985; 工藤,2008;工藤・佐々木,2007).
御倉山溶岩ドームを形成した「噴火エピソードD'」は, 後カルデラ期の一連の活動(約16〜1千年前)のほぼ中間(約7.5千年前)に起きたという点で, 今後の十和田火山の活動推移を予測するうえで重要な位置にあると考えられる.
そこで「噴火エピソードD'」のマグマに関する知見を深める目的で, 御倉山溶岩ドーム試料の反射電子像を撮影した. これらの画像を用いた組織観察結果や鉱物化学分析結果は, 別途報告する.
BEIs optimized for Pl 斜長石観察用の画像 |
BEIs optimized for Px 輝石観察用の画像 |
この資料集は,御倉山溶岩ドーム試料の片面研磨試料の反射電子像を, 77枚収録している. 研磨にあたっては,試料の隙間に樹脂を浸透させるなどして微結晶の脱落を防止した. さらに,特に結晶と樹脂の境界付近における研磨面の平面度を高く保つ目的で, 遊離砥粒を用いず,複数の平行な凹みをつけたガラス定盤(宮城,2008;特許出願中, 2008-116519,2008000787)に乗せた研磨フィルムを用いた.
この資料集に収録された反射電子像は, 産業技術総合研究所・地質調査総合センターの 電子線プローブマイクロアナライザ(JEOL JXA8900)で撮影されたものである. それぞれの画像は1000x1000ピクセルから成り,一辺の実サイズは1ミリメートルである. これらの画像は,研磨片の表面と同じ配置になるように(11×7ミリメートル), ハイパーテキストのテーブルで配列されている. サムネイル画像をクリックすると,1000x1000ピクセルの画像が表示される.
この資料集に収録された反射電子像の輝度・コントラストは二種類ある. 1000x1000ピクセルの画像上をクリックすることにより, 同じ撮影範囲における, 斜長石の累帯構造に最適な輝度・コントラストの画像と, 輝石の累帯構造に最適化された画像とが, 交互に切換え表示されるようにしてある.