西来・宮城(2011)

桜島昭和火口の噴煙の時間的変化の観察

著者
西来邦章・宮城磯治 (産業技術総合研究所・地質調査総合センター)
地質調査総合センター研究資料集 no.542

内容

 鹿児島県桜島火山の昭和火口は1939年10月26日に形成され,1948年頃には活動を停止したが,2006年6月に58年ぶりに活動を再開し,特に2008年2月以降は火山灰を断続的に放出する活発な活動を続けている.
 著者らは,2010年3月19-21日の桜島昭和火口の噴火を,デジタル一眼レフカメラで5秒または30秒毎に繰返し撮影したので,ここに画像を紹介する.撮影に用いたデジタル一眼レフカメラはキャノン製EOS Kiss Digital X2,レンズは同社製の単焦点EF400mm F5.6 LおよびEFS18-55mm IS F3.5-5.6,カラーバランス,露光時間,絞りは自動調節とし,三脚に固定して撮影を行なった. デジタル一眼レフカメラは,大口径な高性能レンズにより詳細な画像が得られることが特長である. 容量の都合により本報告には縮小された画像を掲載するが,必要に応じて元画像を提供する.

撮影地点

撮影地点は昭和火口の見通しが比較的良好な以下の3箇所である(図1).昭和火口(31°34′43″N,130°39′38″E)までの直線距離は,垂水市二川(31°34′38″N,130°46′47″E)で約11.3km,海潟漁港(31°31′45″N,130°42′00″E)で約6.6km,京都大学防災研究所黒神観測室(31°35′01″N,130°42′02″E)で約3.8kmである.

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図1.ロカリティーマップ

撮影風景

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図2.垂水市二川からの観察

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図3 EF400mm F5.6 Lレンズによる撮影

観察結果

垂水市二川にて

  • 観察地点:昭和火口の東,約11.3km地点(31°34′38″N,130°46′47″E)
  • 観察日時:2010.3.19 9:50-10:00の10分間 5秒間隔で撮影(動画1) (->写真のダウンロード)
  • 観察内容:昭和火口から連続的に白色の噴煙をあげている様子が観察された.昭和火口からの噴煙が北側(画面右側)へ傾くと,背後の南岳火口からも噴気が出ていることが確認できた.

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海潟漁港にて

  • 観察地点:昭和火口の南東,約6.6km地点(31°31′45″N,130°42′00″E)
  • 観察日時:2010.3.19 17:30-18:00の30分間 30秒間隔で撮影(動画2) (->写真のダウンロード)
  • 観察内容:昭和火口からの17:30頃の噴煙が一時的に弱まった後,17:42,17:46,17:50の3回,火山灰の混じる灰色の噴煙をあげた.

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京都大学防災研究所黒神観測室にて

  • 観察地点:昭和火口の東北東,約3.8km地点(31°35′01″N,130°42′02″E)
  • 観察日時:2010.3.19 12:18-12:30の12分間 5秒間隔で撮影(動画3) (->写真のダウンロード)
  • 観察内容:連続的な噴煙が昭和火口の北壁側(画面右側)から立ち上がっており,12:25頃に30秒ほど一時的に噴煙が治まった.その後,火口の中ほどから噴煙が上がり始めた.

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  • 観察日時:2010.3.21 11:13-11:23の10分間 5秒間隔で撮影(動画4) (->写真のダウンロード)
  • 観察内容:間欠的に弱い白色噴煙が昭和火口の北壁側(画面右側)から立ち上がっていた.

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  • 観察日時:2010.3.21 13:10-13:26の16分間 5秒間隔で撮影(動画5) (->写真のダウンロード)
  • 観察内容:定常的な白色噴気が立ち上がる中,13:10にやや灰色の噴煙をあげ,引き続き13:14,13:20と間欠的に弱い噴煙をあげた.

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