観測時間 :2004年8月10日(火) 9:59~10:16 および 13:05~13:40(三宅島付近での滞空時間)
ヘリコプター:警視庁「おおとり6号」(JA6786)
搭乗者 :【火口観測班】東宮(産総研)/【COSPEC班】宮下・猪本(気象庁)/ほかクルー3名
行程:
9:03 東京ヘリポート離陸
9:59 三宅島上空到着
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火口観測(9:59~10:16)
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10:28 新島空港着陸
(給油・昼食等)
12:48 新島空港離陸
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COSPEC観測(13:05~13:40)
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13:44 三宅島上空離脱
14:51 東京ヘリポート着陸
三宅島全景.北西の海上から見た様子((1)は12:57撮影,(2)は13:21撮影). 噴煙高度はカルデラ縁より最高1000m程度.
(3) スオウ穴(カルデラ北西縁)付近から見たカルデラ(10:08撮影)
~ cf. カルデラ全景がもっと良く分かる写真(注:2002/4/10撮影)
(4) 北縁から見たカルデラ(10:08撮影)
(5) 主火口全景.主火口はカルデラの南壁沿いにある.膨大な火山ガスはここから放出されている.(10:08撮影)
(6) (7) (8) (8') (9) (10) (10') (11)
(6)-(11) 主火口のクローズアップ(10:07~10:14撮影). 主火口は大まかには3つの領域に分けられるように見える(写真8'および写真10'の1,2,3番).青白い火山ガスは主に2番から出ている.また,3番は垂直に深い穴で,“竪穴”などと呼ばれることがある. 今回,主火口(の1番)の底に,湯だまりが干上がったようなもの(平坦で茶色を呈する楕円形の部分;写真11)が確認できた.
(12) 西から見たカルデラ底の全景.写真右側に主火口の火砕丘斜面が見えている.カルデラ底にあった水溜まりは干上がっていた.(10:13撮影)
(13) 北西から見たカルデラ底.(10:14撮影)
(14) カルデラ西壁とカルデラ底.(10:14撮影)
(15) カルデラ南東壁(10:07撮影)
(16)-(18) それぞれ南東,東,北東から見た三宅島.火口からの距離は5マイル. 写真17では青白い火山ガス(二酸化硫黄)が写真右方向に流れているのが分かる.写真18は青白い火山ガスの真下を通過したときの様子.(13:12~13:18撮影)
(19) 二酸化硫黄の量を測る観測装置,COSPEC(紫外線相関スペクトロメータ).新島空港にて調整中の様子.(10:35撮影)
(20) COSPEC観測中の様子.筒の先を真上に向けて火山ガスの下を通過すると,ガスが濃いほど筒の中に入射する紫外線が弱まる.このときの紫外線の弱まり方から,ガスの濃さを測ることができる.(13:06撮影)
なお,下記の気象庁ページで確認したところ,この日の二酸化硫黄放出量は日量に換算して2,900~3,800トンとのこと.
http://www.seisvol.kishou.go.jp/tokyo/320_Miyakejima/so2emission.htm(三宅島の二酸化硫黄放出量;気象庁のページ)
(21) 大路池が黄緑色に濁っていた.以前にも観察されたように,藻が大量発生しているようだ.(10:11撮影)
(22) 伊ヶ谷(三宅島北西部)に建設中の新港.(10:10撮影)
(23) 三池(三宅島東部)の三宅村役場付近.(13:43撮影)
(24) 本日お世話になった警視庁のヘリ「おおとり6号」.新島空港にて給油中.(10:35撮影)
(25) 本日のヘリの発着地である東京ヘリポート.(9:06撮影)
(26)-(27) 新島.今年の4月に平成新島トンネル(写真27)が開通している.(10:27撮影)
(28) 新島南部東岸の崖.白煙のようなものが上がっている.微小な崩落が起こっていた?(12:53撮影)
---------- 1.概況 天気は晴れ.カルデラ縁(標高700-800m )より300-400mの高さに 部分的に雲がかかるが,観測に支障無し. 風も弱く穏やか.当日の風は以下の通り: ・西南西10ノット(高度2500ft at 09:55 ) ・西南西 5ノット(高度 300ft at 13:33 ) 主火口を含め,カルデラ内がたいへん良く見えた. 火口からの白色噴煙量が少なかったため,火口の中まで良く見えた. 湯だまりが干上がったようなもの (?) を確認. ---------- 2.噴煙・ガス 噴煙が火口から出た瞬間は,青白いガスが主体で,白色噴煙は少ない. 白色噴煙は,噴煙の上昇に伴い増えていき(水蒸気の凝縮が進行し), 雄山上空にかかる雲の層に突入するとさらに増加し, 雲を突き抜けてさらにもう少し上昇する. 噴煙の高度は,カルデラ縁より700~1000m程度. 火口から出た噴煙は,ほぼまっすぐ上昇した後, 上空で東北東~北東方向(赤場暁~美茂井方面)にたなびきつつ 既存の雲と混じり合う. 青白いガスは,白色噴煙よりも拡散気味になりながら上空を流れていった. (山麓には流れ下っていなかった.風が弱かったためであろう.) ---------- 3.カルデラ内部・カルデラ縁 前回観測時から大きな変化はなかった模様. なお,主火口の底に,湯だまりが干上がったようなもの(平坦で茶色な部分) が確認できた. カルデラ底の水溜まりはほとんど干上がっていた(7月27日と同様). また,カルデラ壁が最近顕著に崩壊した跡は見当たらなかった. ---------- 4.飛行コース等 火口観測: 高度2500ftでカルデラ縁に沿って南縁→西縁→北縁というコースをゆっくり2回. 南縁では,主火口をほとんど真上から覗き込むような形になった. 観測者は,命綱をつけ,右側のドアを全開にして観測. この際に機内でも火山ガス臭(硫黄臭)を感じた. COSPEC: 高度300ft・速度70ノットにて, 火口から5マイルの距離でのトラバースを2往復,同3マイルを1往復. この間,ドアを半開していたが,火山ガス臭は感じなかった. ---------- 5.その他 赤外線温度計による火口温度観測によれば, 温度は190℃であったとのこと(気象庁・宮下氏による). また,COSPEC観測による二酸化硫黄放出量は, 8月11日に気象庁ページで確認したところ日量2,900~3,800トンであった. 大路池が黄緑色に濁っていた. 以前にも観察されたように,藻が大量発生しているようだ. 以上 ----------------------------------------------------------------------