現在,気象庁のアレンジにより,毎週月・水・金の3回,三宅島の上空にヘリコプターを飛ばしており,
大学および地質調査所(※)のスタッフがこれに搭乗して観測にあたっています.
原則的に,月・水は警視庁,金は消防庁のヘリが飛んでいます.(※) 地質調査所は2001年4月より「産総研 地質調査総合センター」に組織改編しました.
また,2001年9月現在,ヘリ観測頻度は週に1回となっています.(2001/9/25補足)
ここでは,2月14日に東宮により撮影された写真の一部を公開いたします.
写真をクリックするともっと大きな写真(50-100KB程度)が御覧いただけます.
なお,写真の無断2次使用は御遠慮下さいませ.
<データ>
観測時間 :2001年2月14日(水) 10:40〜11:13(三宅島付近の滞空時間)
ヘリコプター:警視庁「おおとり5号」
搭乗研究者 :金子(隆)(東大),東宮(地調)09:50 東京ヘリポート離陸
10:40 三宅島上空到着(観測開始)
11:13 三宅島上空出発(観測終了)
11:30 新島空港着陸(給油・休憩)
12:28 新島空港離陸
13:31 東京ヘリポート着陸
「濃密な白煙」はカルデラ縁を乗り越えて東方向へ溢れ出す.ただし,カルデラ外へ出た白煙は急速に消散し,海岸まで達することは無い.10:58撮影.
大量の「青白い火山ガス」が,カルデラの東側から溢れ出して斜面を流下し,三宅島空港の上を通って海上に達し,どこまでも漂っていく.10:57撮影.
ときどきプリューム状に大きな白煙が真上に上がり,そのときで噴煙高度1100〜1200m程度.遠景の島は御蔵島.カルデラの北側より10:50撮影.
南西から見た主火口付近.カルデラ壁の下方に大量の硫黄が析出しているのが今回認められた.11:10撮影.
カルデラ南縁に発達する「亀裂」(矢印の先,縁にほぼ平行な弧状のもの)はまだ見えている.ただし,写真一番左の亀裂については,それより内側部分のほとんどが既にカルデラ内へ崩落してしまっている.11:09撮影.
今回搭乗した警視庁のヘリ「おおとり5号」.東京ヘリポートにて13:34撮影.
---------- 1.概況 天気はうす曇りだが観測に支障無し. 噴煙の高度は高い時で1100〜1200m. 大量の火山ガスが東南東(三宅島空港の方向)に流下してそのまま延々とたなびく. 主火口付近のカルデラ壁に硫黄が大量に析出しているのを認めた. 2.噴煙 「濃密な白煙」がもくもくとカルデラ底南部の主火口から上昇し, そのまま(主火口から直接)カルデラ縁を乗り越えて東方向へ溢れ出す. カルデラ外へ出た白煙は急速に消散し,海岸まで達することは無い. ときどきプリューム状に大きな白煙が真上に上がり, そのときで噴煙高度1100〜1200m程度. この濃密な白煙とは別に,カルデラ内を「もやもやとした薄い白煙」がただよって おり,これに妨げられてカルデラ底の観察はできなかった. 大量の「青白い火山ガス」が(カルデラの内部に滞留・充満した後に) カルデラの東側から溢れ出して斜面を流下し, 三宅島空港の上を通って海上を延々とどこまでも漂っていく. ガスの量は相変わらず多い. 3.カルデラ底・カルデラ壁 濃密なガスと噴煙が立ち込めているため,カルデラ底の観察はほとんどできなかった. 主火口付近のカルデラ壁(南面)の下半分に硫黄が大量に析出しているのを認めた. (この硫黄の場所は通常は主火口からの噴煙で隠されていることが多いため, 今まであまり気付かれていなかったかもしれない.) カルデラ縁には顕著な崩壊の跡は確認できなかった. 4.山麓・山腹 今回は山麓はあまり見ていない. 伊ヶ谷で一周道路を車が1台走っているのを確認(11:05頃). 参考:飛行コースについて 飛行コースは,カルデラ縁に沿って北東−西−南を3往復行なった. 飛行中は窓を締め切っていたこともあり,ガス臭はまったくしなかった. 以上 ----------