現在,気象庁のアレンジにより,毎週月・水・金の3回,三宅島の上空にヘリコプターを飛ばしており,
大学および地質調査所(※)のスタッフがこれに搭乗して観測にあたっています.
原則的に,月・水は警視庁,金は消防庁のヘリが飛んでいます. (※) 地質調査所は2001年4月より「産総研 地質調査総合センター」に組織改編しました.
また,2001年9月現在,ヘリ観測頻度は週に1回となっています.(2001/9/25補足)
<データ>
観測時間 :2000年12月20日(水) 9:50〜10:30(三宅島付近の滞空時間)
ヘリコプター:警視庁「おおとり4号」
搭乗研究者 :金子(隆)(東大),東宮(地調)9:04 東京ヘリポート離陸
9:50 三宅島上空到着(観測開始)
10:30 三宅島上空出発(観測終了)
11:26 東京ヘリポート着陸
スオウ穴の縁の拡大.12月13日の様子と変わりはない.10:17撮影.
陥没火口内部(火口底の南寄り)に形成された火砕丘.現在最も活発に噴煙を上げている火口である.その近辺からも小さな噴煙が多数立ち上っている.10:17撮影.
陥没火口の東縁の様子.縁から噴煙が吹き出ているかのように見えるが,それは単に風が巻いていてそのように見えるだけのようである.10:17撮影.
陥没火口の南縁の様子.カルデラの外側から弧状に噴煙が立ち上っているかのように見えるが,それは単に風が運んだ噴煙がそのように見えるだけのようである.10:18撮影.
陥没火口の東縁の様子.無数のガリー(浸食によってできた小さな谷)が発達している.10:20撮影.
北側から見た三宅島.今日の噴煙はほぼ北西に流されていた.10:30撮影.
今回搭乗した警視庁のヘリ「おおとり4号」.10名乗り.東京ヘリポートにて11:27撮影.
---------- 1.概況 天気は曇り.高度4000-5000ft前後にほぼ一面に雲が拡がるが, 火口底(カルデラ)の中は見られた.(cf. カルデラリムの標高は700m前後) 三宅島上空は弱い南東風.このため,噴煙は北西ないし西北西(伊ヶ谷方向)に たなびく. 噴煙の高度は1100m以上(雲の中に突入してしまい頂部は不明). 2.噴煙 例によって,噴煙は純白で濃密なもの(水蒸気主体)と青白く霞むもの(ガス) とに分かれている. 「純白な方」は,カルデラ底南部の火口列(最大は東端の火砕丘)からもくもくと 上昇する.カルデラ内で風が巻いているのか,煙はカルデラ内で一旦南東方向に 壁沿いに上昇した後,カルデラリムの高さに達すると北西方向に斜め上方に 登っていく.(※) その後は雲(雲底1100m程度)に突入して混じりあってしまいよくわからない. (ヘリの高度を5400ftにまで上げて雲の上に出てみたところ, 噴煙が雲を突き抜けている様子はなかった.) 一方「青白い方」は,火口から出た後は一旦カルデラの内部に滞留・充満し, それがカルデラリムから溢れるように流れ出しているように見える(12/13と同様). 溢れた後は斜面に沿って拡がっていく. なお,それ以外にも,カルデラから出てきた白煙からカルデラ外でガスが分離しても いるようだ. 青白いガスは,12/13(強い西風)に比べると今日はやや拡散気味に流れていた. (※)見る角度によっては,噴煙がカルデラの南東リムから噴き出ているように見える. また,カルデラの外側から噴煙が出ているように見えるときもあった. (追補:いずれも風のいたずらである.) 3.カルデラ底・カルデラ壁 濃密なガスと噴煙が立ち込めているため,視界は非常に悪い.特に南半分は絶望的. 北側には今日も大きな池が1つ見えた.水の色は土色〜緑色?(赤くはない). 12/13に見えていた小さな池2つは無くなっていた. スオウ穴の足元で小さな崩壊があったらしく,それらしき堆積物によって 埋められてしまった模様. スオウ穴の池はまだ残っていた.水の色は土色. 12/13の写真と比べて見たが,スオウ穴の縁はまったく崩れていなかった. 4.山麓・山腹 今回は山麓はあまり見ていない. 美茂井の南東(砲台付近で10:25)で一周道路を車が2台走っているのを確認. 5.降雨 10:24頃に大久保〜神着上空(火口から北北西)を通過中に雨がパラパラ降っていた. 噴煙上昇によって励起された雨かもしれないが良く分からない. 降雨時もガス臭はまったくしなかった. 参考:飛行コースについて 飛行コースは,カルデラ縁付近については北東−東−南東を3往復, 山麓については北東−北−北西を1往復行なった. 飛行中は窓を締め切っていたこともあり,ガス臭はまったくしなかった. 以上 ----------