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大会初日の18日に,シンポジウム「大陸棚画定調査と地球科学の役割」が行われた.このシンポジウムは,国連海洋法条約の規定に基づいて日本の大陸棚の外側境界を延ばすために,現在海洋関係の調査機関が連携して取り組んでいる「大陸棚画定調査」の目的や大陸棚画定に関連して地球科学の果たす役割,これまでの関連する調査で明らかになってきた成果,また,今後の調査への期待についての紹介と議論を行うものであった.社会や研究者の関心の高さを示すように,地質学会会員および会員外の方を含め,約100名の参加があった. 大陸棚画定調査は,内閣に設置された関係省庁連絡会議の下,外務省・文部科学省・経済産業省・国土交通省等が精密海底地形調査・地殻構造探査・基盤岩採取を分担・連携して,2009年5月の国連への申請期限に向け今年度より本格的に取り組まれている.シンポジウムの前半では,政府の大陸棚画定調査の推進体制および大陸棚画定調査プロジェクトの内容,調査手法や調査対象海域が紹介され,今までにない地形・地殻構造・基盤岩に関する大規模かつ組織的なデータが取得される全体像が紹介された.後半では,これまでの調査で明らかになった新たなフィリピン海域のテクトニクス像,屈折法・反射法地震探査により明らかになった伊豆・小笠原弧,南鳥島や小笠原海台の地殻・地質構造に関する講演があり議論がなされた. 産総研は,大陸棚画定調査には,基盤岩採取調査の実施や基盤岩採取調査の試資料の分析・解析を分担して実施し貢献していくこととなっており,今回のシンポジウムでは,西村がコンビナーとしてシンポジウムの趣旨説明をしたほか,飯笹幸吉(地質情報研究部門)が 「日本周辺海域の海底金属資源分布 」,石塚 治(地質情報研究部門)が「フィリピン海地域の島弧-背弧系の成長発達史の解明−大陸棚確定調査への期待−」の講演により,これまでの関連調査での資源分布調査の現状や今後の基盤岩採取調査を中心として明らかにすべき課題と展望の報告を行った. 大陸棚調査はマスコミ等では大きく取り上げられたりしたが,その内容や学術的な意義や問題点については,関係学会の研究者の理解も十分ではなく,今後,多量で精度の高いデータの蓄積のなされる過程で,調査結果についての議論も含め,さまざまな場で検討されるべき課題であると考えられる. |
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