八剣山の安山岩脈
カテゴリー: 地質現象
撮影者: 青木 正博
 八剣山は,札幌市街地から定山渓温泉に向かう国道230号線の脇にあって,鶏のトサカあるいはステゴザウルスの背びれのようにギザギザした山容でよく知られる.市街地に近いうえ標高が低く(498m),植生のない山頂からは大パノラマが満喫できるとあって,絶好のハイキングサイトとなっている.その山頂は集塊岩を貫いた安山岩脈でできている.安山岩脈は,マグマが岩盤の割れ目中で固結したもの.周囲の集塊岩に比較して圧倒的に緻密(鋳物と砂型の関係に比べられる)のため,侵食に耐えて空中に突出した.尾根幅は岩脈の幅とほぼ等しく,狭いところでは1.5m程しかない.上に立って眼下を直視するにはかなりの勇気が要る.岩脈は北東−南西方向にのび,岩脈の走行に直交する柱状節理が発達する.平滑な大壁は岩脈と集塊岩との境界面で,その表面には6角形の節理パターンが現れる.岩脈の両側で斜面の勾配が異なるのは,岩脈の上盤側が下盤側に比べて早く侵食されるためであろう.