龍野地域は兵庫県南西部を占め,地質構造区分上,西南日本内帯に位置する.堆積岩類を主とし一部にハンレイ岩を伴うペルム–ジュラ系,これを不整合で覆う後期白亜紀のカルデラ火山噴出物,及びこれらを貫く後期白亜紀–古第三紀の貫入岩が広く分布し,河川沿いには第四系が分布する.ペルム–ジュラ系は,上月–龍野帯に属する龍野層群,平木層,夜久野コンプレックス,超丹波帯の山崎層,及び丹波帯の南山コンプレックスから構成されるが,本報告において模式地の龍野層群は,その一部が超丹波帯山崎層であることが判明した.後期白亜紀の火山岩は9個のカルデラ火山群を構成し,それぞれが不整合関係で区分されることが明らかになった.これらのカルデラは径15km以下で,新旧のものが重複するため一部が失われたり,南北圧縮による右横ずれ断層の変形を受けている.山崎断層系の安富断層と暮坂峠断層が本地域北西端から西北西–東南西の方向に分布し,いずれも左横ずれの活断層である. |